都市部で商業施設を運営するルミネは2020年12月、オンライン接客の際の決済方法として、DGフィナンシャルテクノロジーが提供する、メールリンク決済のシステムを導入した。同社のテナントに入居するブランドが、オンライン接客での商品購入時に、ルミネカードで支払いができる支払い画面のURLをメールやSNSで、顧客に送信している。ブランドの店舗の優良顧客のロイヤルティーの強化や、客単価の向上につながっているという。
コロナでオンライン参入続くルミネではコロナ以降、新宿店など都心の店舗で来店客が大幅に減少した。2021年3月時点でも、客足が完全には回復しておらず、ルミネのテナントに入居するアパレルショップの多くが、オンラインでの商品販売も行っているという。
アパレルショップでは、ZoomやLINEのビデオ通話機能を使ってスタッフがオンラインで接客し、新商品の紹介やコーディネートの提案を行うケースが多いそうだ。オンライン接客を受ける人の多くは、これまでルミネの店舗に通っていた既存顧客で、店舗でスタッフと顔なじみになっていた人が、オンラインで提案を受けるケースも少なくないとしている。
ZoomやLINEには、決済機能が備わっていない。そのため、オンライン接客で顧客が商品購入に至る際に、スタッフは、顧客をブランドのECサイトに誘導するしかなく、スタッフにも顧客にも、手間がかかっていた。
ルミネのECサイト「アイルミネ」でルミネカードを利用し商品購入すると受けられる、5%の割引優待も、ブランドのECサイトでは受けられず、顧客にとってデメリットになっていたという。
平均単価5000円アップルミネは2020年12月に、オンライン接客を行うショップに対して、DGフィナンシャルテクノロジーの「メールリンク決済」を活用した、「ルミネカードweb決済サービス」の提供を開始した。ルミネカードを使って決済をすると、店舗での支払いと同じく5%の優待割引を受けることができる。
「ルミネカードweb決済サービス」は、ルミネ新宿店に入居する「ドレスレイブ」や「ドゥージーエム クラス」といったアパレルショップが導入している。ルミネが2020年12月にサービスを開始してから、2021年3月までに、合計1200回以上、同サービスでの決済が使われたという。
導入ショップの実店舗での平均単価は2万5000円だったが、オンライン決済では3万円になったという。オンライン接客では、店舗の既存顧客向けに、よりパーソナルな商品提案を行うというショップが多い。その結果、平均顧客単価が向上したとしている。「ルミネカードweb決済サービス」は、オンライン接客だけでなく、インスタグラムのライブ配信にも活用されているという。インスタのライブ配信では、ショップのスタッフが新作を紹介することが多く、購入希望のダイレクトメッセージに対し、メールリンク決済で生成した支払い用URLを送信しているそうだ。
ルミネ営業部・営業推進グループの白田有香梨氏は、「オンライン接客やライブ配信は、今後も重要な顧客接点。メールリンク決済を導入していない企業に、積極的に導入を提案していく」と話している。
「メールリンク決済」
https://www.veritrans.co.jp/casestudy/maillink.html決済画面のURLを掲載したメールを顧客に送信し、遷移先のページで、クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行決済(Pay-easy)を使って支払いをしてもらう機能。ルミネでは、メールのほか、インスタグラムのDMなど、SNSで決済画面のURLを送るケースもあるという。