2020.03.19

【ECマーケの論点】“離脱防止”でSNS広告停止 高まるUXの重要性

アドウェイズ YACLEプロダクトオーナー 中村真綾氏(写真左)とEmotion Intelligence 太田麻未CEO


離脱防止が単品通販でブーム


――離脱防止ツールの導入は増えているのですか?

太田:ここ1〜2年で単品通販事業者を中心に急増していると思います。単品通販事業者は広告からの集客比率が高く、その分顧客獲得までの数値管理に注力しています。離脱防止ツールがコンバージョン率の改善に効果的だという認識が広まり、導入が加速しているのだと思います。離脱防止ツール自体も一気に増えました。「AiDeal」も総合通販事業者の導入が先行していましたが、最近では単品通販事業者の導入が増えてきました。離脱防止ツールとは機能が違いますが、コンバージョン率を改善できるツールだと評価していただけているのだと思います。

中村:当社はインターネット広告事業を中心に、アフィリエイト広告サービスも提供しています。単品通販事業者の集客を支援しているアフィリエイター側も離脱防止ツールが導入されているかどうかを問うケースが増えているようです。アフィリエイターとしてもコンバージョン率が高いサイトに送客した方が効率的だからだと思います。最近では離脱防止ツールやウェブ接客ツールを導入してないLPはあまり見かけなくなりました。


アドウェイズ YACLEプロダクトオーナー 中村真綾氏

――このような規制はフェイスブックだけなのでしょうか?

太田:海外のメディアではSEOにも影響があるという記事も出ています。しかし、国内で同様の警鐘を鳴らすような記事は少なく、規制や評価についてもはっきりしたことが分からないこともあり、まだ問題視されていないようです。ただ、どのプラットフォームもUXを重視しており、広告もユーザーフレンドリーにしていこうという方向性は間違いありません。UXを阻害するサイトは規制やマイナス評価の対象になってしまう可能性は高まっています。

――プラットフォームがUXを重視しているという顕著な動向は他にもありますか?

中村:これは法規制とも関係してきますが、LPの表現に対する審査は厳しくなっています。行政による薬機法や景表法の取り締まりが強化されており、2018年には国からの措置命令件数が前年の約2倍に膨れ上がると2019年もその高い水準が維持されています。行政の取り締まり強化の動きと連動し、プラットフォームも広告審査を厳格化しています。ここ数年は以前と同じ表現をしていても広告審査に落ちるケースが増えました。当社ではLPの表現を効率的に審査できるようにするため、薬機法を遵守するためのサービス「YACLE(ヤックル)」をリリースしました。「YACLE」ではLPを独自開発の解析ツールへ通すだけで、薬機法違反となるリスクが高い箇所を指摘し、適切な表現案を提示します。画像解析を用いていますので、画像内のテキストも解析可能です。

太田:「過剰に表現する」「ユーザーの行動を抑制する」というようなUXを阻害する方法でお客さまに購入していただいたとしても、その後のリピートにはつながりにくくなります。LTV(顧客生涯価値)という観点からもUXを重視したECサイトの設計が、ますます重要になると思います。

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