【対談インタビュー】Emotion Intelligence 太田麻未CEO × アドウェイズ YACLEプロダクトオーナー 中村真綾氏
プラットフォームがUX(ユーザーエクスペリエンス)を阻害するECサイトの評価を下げたり、広告出稿を規制する動きが顕著になってきた。最近ではフェイスブックが離脱防止ツールを導入しているECサイトの広告配信を停止する事例があった。LP(ランディングページ)の表現に対する審査も厳しくなっている。AI搭載のデジタルマーケティングプラットフォームを提供するAppierのグループ会社であり、ウェブ接客ツールを提供するEmotion Intelligence(エモーションインテリジェンス)の太田麻未CEOと、ネット広告事業を運営するアドウェイズ YACLEプロダクトオーナーの中村真綾氏に「ECマーケティングにおける最適なUX」の重要性について聞いた。
フェイスブックが広告停止
――大手プラットフォームがUXを欠いたECサイトの評価を落としたり、広告を規制したりする動きが顕著になってきたそうですね。
太田:フェイスブックが離脱防止ツールを導入しているECサイトの広告を規制する動きが出ているようです。先日、当社が提供するウェブ接客ツール「AiDeal(アイディール)」を導入しているECサイトでもいきなり広告が止まってしまう事例がありました。原因を探る中で、「AiDeal」が離脱防止ツールと誤って判断されてしまったと分かり、フェイスブックジャパンに確認したところ、広告の配信を戻すことができました。
Emotion Intelligence 太田麻未CEO――離脱防止ツールを導入していると広告の配信が止まってしまうケースがあるのですね。
太田:フェイスブックの広告規定の中に、「広告で機能しないLPに利用者を誘導してはいけません。これには利用者をページから離れられなくするLPも含まれます」という内容が記載されています。広告規定の詳細な運用方法については分かりませんが、この規定によって離脱防止ツールを規制しているようです。機械的に離脱防止ツールを導入しているLPに誘導する広告を審査している中で、「AiDeal」を導入しているクライアントのサイトも誤って規制されてしまったようです。直接、フェイスブックジャパンと話をして、「AiDeal」は顧客のUXを阻害するツールではないことを説明し、規制を解除してもらいました。
――ウェブ接客ツールと離脱防止ツールの違いは何ですか?
太田:「AiDeal」はAI(人工知能)を用いたウェブ接客ツールです。ECサイト上のユーザーの行動をAIがリアルタイムに解析し、購入を迷っている方に対して、ポップアップで購入を促す情報を提示します。一方、離脱防止ツールはユーザーがサイト上で「閉じる」や「戻る」のボタンを押したときに、画面を遷移させずにポップアップを表示するなどして離脱を防ぐツールです。リアル店舗で例えると、ウェブ接客ツールは商品棚の前で購入を迷っているお客さまに店員が声をかけて購入を促す行為であり、離脱防止ツールは店の出口の前で出ていこうとするお客さまに声をかけて、購入を促す行為のようなイメージです。