2021.04.06

【<特集>コロナで起きたゲームチェンジ】 ECモールのオフィス家具市場は2.5倍に

コロナでECモールに起きたゲームチェンジ


2020年、新型コロナウイルスは、EC市場に大きなゲームチェンジをもたらした。ゲームチェンジの結果、市場が急速に拡大したのは、「オフィス家具」「食品」「アウトドア」ジャンルだ。EC市場のデータ分析を手掛けるNint(ニント)のデータを基に、2020年4月~12月の9カ月間の各ジャンルの大手ECモールの売れ筋上位100位の商品の合計売り上げを、前年と比較したところ、「オフィス家具」ジャンルは、前年同期間比2・5倍に成長したことが分かった(図表を参照)。家具メーカーの関家具では、「ECの売り上げが前年比で7倍に成長したオフィスチェアブランドもあった」(広報課)と話している。



【オフィスチェア】価格と機能性のバランスがヒットの秘訣

オフィス家具ジャンルでは、「オフィスチェア」「折りたたみデスク」「消毒液ポンプスタンド」といった商品が、前年と比較して、大きく売り上げを伸ばした。Nintのデータによると、2019年4‐12月の売り上げがわずか1万4000円だったオフィスチェアの商品が、2020年4‐12月では、300万円以上の売り上げを上げたという事例もあったという。

関家具が販売するオフィスチェアブランド「Ergohuman (エルゴヒューマン)」の商品は、卸先の販売店における、EC経由の売り上げが、前年比で約7倍になったという。「エルゴヒューマンを除いても、オフィスチェアのECの売り上げは前年比2.5倍と大きく成長していた。オフィスチェアEC市場全体の伸長率も同様だった印象だ。コロナ禍の外出自粛によってEC利用が増加したことや、テレワーク需要による特需が発生したことが背景にある」(関家具 広報課)と話している。

オフィスチェアの中には、急激に売れた商品と、緩やかに売り上げが伸びた商品とが存在する。関家具では、「エルゴヒューマンには、さまざまな調整機能が付いているのに、価格は8万9000円~14万9000円となっている。機能性と価格のバランスが優れているという理由で、よく売れたのではないか」(同)と話している。



データを提供したNintの西尾宗哲事業責任者は、オフィス家具ジャンルの市場拡大について、「『オフィス家具』ジャンルの商品の売れ行きには、コロナ禍の在宅ワークの浸透が如実に影響している。以前は、自宅で長時間座って仕事をすることが想定されていなかったため、腰を痛めたり、姿勢が悪くなったりするケースが増えている。そうした点を気にする人も多い。自宅に快適な仕事環境を作るため、高価格なオフィスチェアを購入しようと考える人が増えた可能性がある」と話している。


※本記事で使用したデータは、Nintが提供するデータ分析サービス「Nint Ecommerce」を活用して得た。「Nint Ecommerce」では、楽天やアマゾン、ヤフーショッピングといった主要ECモールの分析が行える。ジャンルの売り上げや個別の商品の売り上げを分析できるだけでなく、ショップごとの売り上げや、広告の出稿状況のデータも収集できる。モール内のジャンルごとのトレンドや、競合他店の売れ筋商品の変化、広告出稿状況を分析することが可能だ。

Nint→https://www.nint.jp/ec/ 

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