2020.03.23

シップス、画像認識AIでCVR3倍 サイト統合後の検索性を改善

popIn Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏(写真左)とシップス デジタルマーケティング部 課長 萩原千春氏


“探し出す”感覚がレコメンドとの違い


――レコメンドエンジンとの違いや棲み分けの必要は?

吉岡:既存のレコメンドエンジンをリプレイスする必要はなく、商品を導き出すロジックも異なりますので、当社としては両方あると相乗効果が得られると考えています。「popIn Action」はレコメンドエンジンと異なり、ユーザーが能動的に機能を活用するので、「ECサイトが薦めてきた」という感覚ではなく、「自分で探し出した」という感覚で商品との出会いを創出しています。ユーザー体験としても新しいUI で、楽しく使える便利な機能だと思っています。


popIn Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏

萩原:テキストを打って商品を検索するお客さまは、そのアイテムのキーワードを分かっていないと探すことができません。雑誌やSNS、テレビで見かけたり、それこそ街で歩いている人が着ているのを見つけてほしいと思ったアイテムを、詳しく分からなくても画像で検索したり、似ているアイテムから探し出せるのは、ユーザー体験としても良いサービスだと思いました。

吉岡:ビジョナリーホールディングスの川添隆さんも「検索はスキルだ」とおっしゃっていましたが、検索スキルは世代が上がるごとに低下する傾向にあります。スマホやECサイトに慣れていない世代は、欲しいものがあっても目当ての商品を探せず諦めてしまっているのでは、と弊社では考えています。もちろん若い世代のユーザーにも使っていただきたいですが、スマホに慣れていない世代にも一度「popIn Action」を使っていただければ、商品を探すことが簡単になり、ECサイトで商品を購入することに対してポジティブな印象を持ってもらえるのではないかと思っています。


改善スピードが大きな魅力


――導入後に機能やデザインの改善にも対応しているのですか?

吉岡:シップスさまのECサイトでは、商品画像の右下にアイコンと「似たアイテムを見る」というテキストを入れさせていただいています。このアイコンのデザインもこれまでに3回くらい修正しています。シップスさまからご要望をいただきつつ、私たちからも提案し、現在はこのデザインに落ち着いています。

最初は動きがなかったのですが、動きをつけたほうが機能に気付いてもらいやすいと考え、ページ表示後にテキストをポップアップで表示するようにしました。私からテキストを表示後に消すことを提案しましたが、萩原さんから「そのまま残しましょう」とアドバイスをいただき、残す形にしています。

アパレル事業者さまは商品画像へのこだわりが強いと思いますので、その画像の上にアイコンを置かしていただくことが可能なのか、最初は不安な面もありました。萩原さんから「その点は問題ない」と言っていただきました。他のアパレル事業者さまでも、その点がハードルになることはありませんでした。


popIn 吉岡氏(写真左)とシップス 萩原氏

萩原:お客さまは商品詳細ページに入る前に商品画像を確認しています。つまりその商品を詳しく見たいと判断する時点では、しっかり商品画像の全体像を見ているのです。また、より詳細な情報を確認するためにはメイン画像以外の、いわゆる他の詳細画像や拡大機能などを使って閲覧されるので、商品詳細ページでは「popIn Action」をしっかり使ってもらえるようにアイコンを分かりやすく表示した方がユーザーメリットは大きいと判断しました。

吉岡さんからも数値を見ながら「ここを修正した方がうまくいきそう」「新たにこれもやりませんか」という提案をたくさんいただいており、さらに効果を高めるチャレンジができています。まず商品詳細ページに類似商品の検索機能を導入し、検索窓に「画像検索」を実装しましたが、その後、「スタイリング(スタッフのコーディネート画像)」のページにも類似商品レコメンドを追加しました。さらに商品をお気に入り登録した際に、そのアイテムと似た商品を表示する機能も追加しています。ユーザービリティーを高めていけることは、われわれとしても非常にありがたいです。

吉岡:萩原さんとは毎週のようにやり取りしていますね。われわれのサービスは対面で話をしないと施策を進められないものではないので、メッセンジャーや電話でやり取りさせていただきつつ、デザインの変更や機能の拡張を進めることができています。お互いコミュニケーションの負荷も少なく、効果を高めることができていると思います。

当社の親会社であるバイドゥは中国のハイテク企業であり、経営や事業のスピードを重視しています。バイドゥのエンジニアが開発を行っていますが、こうすればこういう効果が出ると具体的な依頼を送ると、ものすごくスピーディーに対応してくれます。
萩原:お世辞ではなく、本当に改善スピードが早い。私たちにとってもサービスの改善が迅速にできることはありがたいです。

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