2020.03.23

シップス、画像認識AIでCVR3倍 サイト統合後の検索性を改善

popIn Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏(写真左)とシップス デジタルマーケティング部 課長 萩原千春氏


ファッションアイテムのセレクトショップ「SHIPS(シップス)」を運営するシップスは2018年11月にECサイトとコーポレートサイト、オウンドメディアを統合した。サイト統合でユーザー数やEC売上高は伸びたものの、商品の検索性に新たな課題が生まれたという。UI/UX改善の一手として導入したのが、popInが提供するEC向け画像認識AIサービス「popIn Action(ポップイン アクション)」。高度な画像認識AIにより、閲覧している商品画像と類似した商品を探すことができたり、ユーザーが持つ画像から似たようなイメージの商品を検索できるサービスだ。シップスのデジタルマーケティング部 課長 萩原千春氏は、「スマホシフトが進む中、より直感的に商品や情報を探せるサービスが主流になる」と考え、「popIn Action」導入を決めた。「popIn Action」利用者のコンバージョン率は3倍以上に跳ね上がり、離脱率は約4分の1に減少したという。シップス 萩原氏とpopIn Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏に導入の経緯からサービスの効果、改善の工夫などを聞いた。



サイト統合でセッション数、EC売上1.5倍


――自社ECサイトはいつから展開し、どのように強化してきましたか?

萩原:シップスのEC事業は「セレクトスクエア」(現在の「タカシマヤファッションスクエア」)への出店から始まり、「ZOZOTOWN」「iLUMINE」など当初はモール販売を中心に展開していました。自社ECサイトは2010年に開設しています。リアル店舗とECの会員統合などは比較的早くから取り組んでいました。オムニチャネルやオンラインでの顧客接点をより最適化しようと、2017年に「ecbeing」を導入し、ECサイトをリニューアル。システムの切り替えでもサービスを安定的に継続できるように注力し、決済方法などを拡充しました。そして、2018年11月にコーポレートサイトとECサイト、オウンドメディアなどを統合しました。


シップス デジタルマーケティング部 課長 萩原千春氏

――サイト統合による成果は?

萩原:統合前のECサイトのセッション数(ユーザーの訪問回数)を1とすると、コーポレートサイトはその1/4、オウンドメディアは1/10くらいの規模でした。元々のクロスユースを考えると単純な足し算にはならず、逆に減少することも想定していましたが、統合後の全体のセッション数は合算値に留まらず、実際は1.5倍まで拡大しました。

EC売上高も統合前と比べると1.5倍に、PVは2倍以上になりました。統合した結果、商品を探しにサイトに訪れたお客さまがリアル店舗やイベントの情報、オウンドメディアの情報に、シームレスにつながりやすくなった効果が出ていると思います。商品を見にきて、リアル店舗を探すお客さまは、購買意欲が高いまま、来店していただける可能性があります。もちろん逆もしかりでオウンドメディアやリアル店舗の情報を探しにきたお客さまがそのまま商品まで探しやすくなったと思います。シームレスな導線やUXを強化したかったので、良い結果が出たと思っています。

――統合したことでユーザーの回遊率が高まり、PV数が伸びるのは分かりますが、セッション数も伸びているのはなぜなのでしょうか?

萩原:サイトを統合することでコンテンツが充実し、SEO効果が高まったり、プロモーションの取り組みが一本化された効果も出ていると思います。これまでリアル店舗への送客を促すプロモーションを実施しても、お客さまは店舗情報に行き着くだけで、そこからECへの流入にはつながりませんでした。メールマーケティングから集客効率も良くなっていると思います。


ナビゲーションに課題、画像認識AI導入


――サイト統合によって生じた課題はありますか?

萩原:サイトを統合して、一番難しいと感じたのが、ナビゲーションの部分です。ECサイトであればいきなりアイテムカテゴリーを表示し、商品の絞り込みに誘導しても違和感はありませんが、コーポレートサイトなどと統合したことで、来訪されるお客さまは商品を探されている方だけではないという難しさがありました。ECサイトとして考えると、トップページから商品が探しにくくなった面もあると思います。

公式サイトとしても商品情報がメインコンテンツとなりますので、商品情報を効果的に見ていただければ、購買意欲が湧き、ECサイトで購入していただけたり、実物を確認するためにリアル店舗の情報を見ていただけたりすると考えました。商品をもっと検索しやすくするためにどうすればいいかと考えていたときに、popInの吉岡さんから「popIn Action」のことを教えてもらい、2019年7月に導入しました。

吉岡:「popIn Action」は、画像認識AIにより類似商品を簡単にレコメンドできたり、SNSで保存した画像や撮影した写真から似ている商品を検索できるサービスです。サービスを提供し始めてすぐに萩原さんにお声がけし、導入を決めていただきました。

萩原:お客さまがスマホにどんどんシフトしている中で、文字を入力して検索することを面倒に思う方は増えていくと思います。音声検索が増えているのはそういうことだと思います。より直感的に商品や情報を探せるサービスが主流になっていくと思っています。

吉岡:スマホで見ているユーザーは、商品画像のアイコンをワンタップするだけで類似商品をポップアップで確認できるので、商品を探しやすくなります。類似商品の情報はデフォルトで30件表示しています。ユーザーは自分が興味を持っている商品の類似商品をひと目で確認できるので、回遊率や購入意欲が高まる傾向にあります。EC事業者さまに関しては、フロントのデザインを全く変える必要がなく、アイコンを配置するだけで機能を実装できる点も魅力だと思います。


「SHIPS」における「popIn Action」の利用イメージ
  

【「シップス」が導入した「popIn Action」の4機能】
・類似アイテム検索機能(商品ページのアイコンクリックで似たアイテムを表示する機能)
・画像検索機能(ユーザーの保有画像から似たアイテムを検索できる機能)
・類似アイテム検索機能 for コーディネートページ(コーディネート画像から着用しているアイテムと似たアイテムを表示する機能)
・お気に入りレコメンド機能(お気に入り登録したアイテムと似たアイテムを表示する機能)


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