2021.03.04

【ニュースの深層】〈アマゾンジャパン〉二重価格表示でお詫び 東京高裁「アマゾンは表示の当事者」

アマゾンジャパンは2月10日、アマゾンのECサイトのトップページに、景品表示法上の不当表示(二重価格表示)に関するお詫びのコメントを掲載した。2017年12月に消費者庁がアマゾンジャパンに対して行った、景表法の措置命令について、アマゾンジャパンは東京地裁に、取り消しを求める訴訟を起こしていたが、2019年に棄却された。アマゾンジャパンは控訴していたが、2020年12月に東京高裁がこれを棄却。東京高裁は、アマゾンジャパンに対して、複数の理由から、「不当表示を行った主体である」との判断を行ったという。


単品なのにセット価格に

消費者庁は2017年12月27日、アマゾンジャパンに対して、景表法に基づく措置命令を行った。消費者庁は、アマゾンジャパンが、クリアホルダーや甘酒など5品目について、商品ページで、実際の販売価格を上回る「参考価格」と称する価額を併記することで、消費者に誤認を与えていたとしていた。
 
2021年2月10日に掲載したお詫びのコメントで、アマゾンジャパンは、「『参考価格』は、メーカーが便宜上定めた価格や希望小売価格よりも高い価格、単品の価格でなくセット商品の価格で、景表法に違反する表示だった」旨を掲載した。形だ。


踏み込んだ高裁判決

アマゾンジャパンは、2018年に提訴した措置命令の取り消し訴訟の中で、「『参考価格』は、アマゾンの仕入れ先や同一商品を販売する出品者が任意に入力した情報を表示している。不当表示の主体は、表示内容の決定に関与した事業者である」旨を主張し、アマゾンジャパンは不当表示の主体ではないとしていた。
 
東京地裁は19年11月に訴えを棄却。アマゾンジャパンが控訴した東京高裁も、「不当表示を行った主体は、控訴人と消費者が考えるほかない」などとして、請求を棄却した。
 
東京高裁は、①「Amazon.co.jpが販売する」と表示している ②アマゾンジャパンは不当表示に関するカスタマーレビューを発見した際に、製造業者に修正するよう連絡しており、表示を決定する権限がある─などとして、アマゾンジャパンの請求を認めなかった。
 
景表法に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の中山明智弁護士は、「今回の高裁の判決では、アマゾンと出品者の契約書類にまで言及している。取引の実態を見た上で判断しているというところでは、踏み込んだ判決といえる」と話している。

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