2021.02.26

【記者コラム】飲食店のECが根付かない理由…その2

前回は、飲食店の視点として「動機付け」のことを書きました。しかし、不特定多数の消費者に対し、動機付けするにはある程度の時間が必要です。

飲食店はキャッシュフローが特に重視されます。ECよりもデリバリーやテイクアウトを先行して取り組む理由も理解できます。こうした状況を踏まえると、EC展開の第一歩は、ベイスやストアーズによる無料のサイト構築サービスを利用するのが当然の流れになるのも分かります。

面白い事例を紹介します。都内を中心に洋食店「つばめグリル」を展開するつばめは、先日、ECサイトをオープンしました。オープン後、すぐに商品が完売。一時的にサイトが閉鎖されたことも確認しています。販売数は不明ですが、需要があったことは事実でしょう。

つばめによると「東京以外在住の方が当店を利用して、おいしかったからまた食べたい」と言う声が広がり、ECサイト開設につながったといいます。普段、お店を利用できない人が通販を通して味を楽しめる、この需要を見据えていたのだと思います。

地道に取り組んでいたインスタグラムの情報発信が、実は鍵を握っていたようです。見てみると、発信の仕方が上手だな~と思いました。味だけでなく、スタッフ、作り手の全員が登場して情報発信。「行ってみたい」「食べてみたい」動機付けが、インスタで上手に表現されている一つの事例だと感じました。

つばめのように、飲食店を展開する事業者には、すでに大きなアドバンテージがあります。すでに店を知っている人がいることです。そして、すぐにECを始められるサービスがあることもしかり。しかし、ECを展開するには、情報発信がどうしても鍵となります。つばめのような発信は正解だったようですが、不正解はありません。各社、やってみたことで、見つけられた独自のマーケットです。

ECはすぐに始められても、売り上げに直結するわけではありません。地道な努力が、実を結びます。1日5分だけでも構いません。まずは、毎日何かを発信することから始めてみてはいかがでしょうか。

次回も「その3」を書きます。飲食店のECが根付かないのは、ECを支援する側に問題があると、個人的には思っているため、それについて書きたいと思っています。

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