2021.01.28

「楽天市場」流通総額3兆円突破 三木谷社長「アマゾン、ヤフーより伸長」【新春カンファ講演要旨】

「楽天新春カンファレンス2021」で講演する三木谷浩史社長

楽天は1月28日、「楽天市場」の出店店舗向けイベント「楽天新春カンファレンス2021」を開催し、三木谷浩史社長が講演を実施した。「楽天市場」の2020年の流通総額は3兆円を超えたと言及。2年間で1兆円を上乗せし、2030年頃までには10兆円を目指すという。三木谷社長は「アマゾンやヤフーよりもバンバン伸びていると思う」と強調し、コロナ禍における高い成長を印象づけた。

三木谷社長は講演冒頭でコロナ禍でデジタルを駆使しした社会改革が加速していることを解説。「インターネットによりあらゆるものが変わっていきつつあったのが、(コロナで)10倍くらい加速した。あらゆる産業、サービスがインターネットにつながってくる」(三木谷社長)と話した。

具体的にはオンラインとオフラインの境目がなくなってくると言い、家などの大型商品などもオンラインで取引することになると説明。「本当の意味でのデジタル消費が実現していく」(同)と話した。



コミュニケーション手段としてはカタログ通販の時代の文字から、現在は画像の時代になり、今後は動画や音声によるインタラクティブなサービスが主流になると語った。中国の「独身の日」ではアリババグループのライブコマースに3億人が参加し、33のチャンネルで16億円の売上を上げたことを事例として紹介した。


12月は流通総額が50%弱増加


楽天はこうしたデジタルトラスフォーメーションの中において、時流を先取りし、成長を続けている。「楽天市場」の2020年12月の流通総額は前年同月比50%弱伸びたという。



楽天は1つのIDでグループのサービスが利用できる点が強みであり、その強みを生かしてコロナ禍の窮地も打開できるという。実際に「楽天トラベル」は業界全体よりも早く流通総額が回復しており、「楽天カード」も他のクレジットカードがコロナによる消費減退の影響を受ける中、デジタル消費に強い点が生きているという。

「楽天市場」の成長において「店舗の個性と統一性」の両立しないといけないと説明。「共通の送料込みライン」においては2020年12月時点で店舗全体の85%が導入し、流通総額の占める導入店舗の割合は89.4%に達している。2020年の4−12月における導入店舗と未導入店舗の成長率は、約25ポイントの差があるという。




楽天モバイルから新規顧客獲得


2020年に本格的にサービスを開始した携帯電話(MNO)事業については、「われわれも15年前にモバイル宣言をして、楽天市場のモバイル対応も強化してきた。『楽天市場』の流通総額におけるモバイル比率は76.5%になっている。これは平均の数値だが、元日だけで見るとモバイルの流通総額比率は86.3%、訪問比率は89.7%になっている。こうした状況からモバイル取られるとやばいぞと考え、モバイル参入を決めた」と説明した。





「楽天モバイル」展開強化により、「楽天市場」の新規ユーザーの取り込みにもつながっているという。楽天モバイル加入後の「楽天市場」ユーザー1人当たりの月額流通総額が44%増も増えたと言及。2020年12月に「楽天モバイル」ユーザーの55.1%が「楽天市場」を利用した。この利用率は今後さらに拡大すると見ている。




ゼロキャッシュの時代を予測


三木谷社長は今後の社会の展望として、「ゼロキャッシュの時代になる。紙幣や硬貨が消える時代が来るというのを今年の私の予言として言いたい。

中国ではすでに中銀デジタル通貨(CBDC)を発行したり、その他の国でもデジタル通貨の運用が始まっていることを紹介。楽天においても「楽天ポイント」と仮想通貨に交換できるサービスを開始しており、将来的には仮想通貨で買い物できるサービスも提供したい考えだという。



楽天は金融事業にも注力しており、金融の新たな潮流にも迅速に対応していくという。

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