2021.01.07

【新春インタビュー】高島屋「出荷元変更や受注拠点追加、コロナで奔走」

高島屋 郡一哉クロスメディア事業部事業部長(写真左)、西名香織EC事業部事業部長(写真右)


コロナでコスト増、収益力の改善が急務


――バックヤードで苦労した点は?

西名:店頭から出荷しているため、店舗が営業自粛してしまうと出荷できなくなる。化粧品は横浜や大阪の店舗から出荷していたが、出荷店舗を切り替えて何とか継続販売できるようにした。

郡:注文の増加とともに問い合わせも急増し、コールセンターの応答率は一時30%くらいまで落ちた。コロナでオペレーターの数を減らしていると説明しても、お客さまは待ってくれない。8月から臨時センターを作り、受注対応を行った。9月からは3拠点追加し、オペレーターの数も増やした。受注コストは上がったが、あのときは通販がインフラのような役割を果たしていたのでコストをかけても整備した。

西名:問い合わせをオンラインに寄せ、無人のAIで疑問を解消していただけるように設計を変えた。これまでも、電話、メール、チャットなど問い合わせのチャネルは設けていたが、均等に「お好きな方法でどうぞ」という見せ方だった。人手をかけないチャネルに誘導するように変え、どうしても解決できない場合は有人対応するという流れにした。ECサイトの利用方法を伝える動画の配信も行った。さまざまな媒体にQRコードを載せたことで、思ったよりも多くの方に閲覧していただけた。

――2021年の展望は?

西名:2021年にECサイトを刷新する。使いやすくするのはもちろん、オンラインとリアルを両方持っている強みを追求していかないといけないと考えている。ライブコマースやオンライン接客もそのための取り組み。それらに高島屋らしさをどう出していくかを考えていく。

郡:コロナで利益率が低い食料品の売り上げが上がった。さらに今期はコールセンターの受注経費が上がり、倉庫の人件費も高まっている。決済方法では代引きが中心だったが、コロナ禍ではクレジットカード決済が増え、支払手数料も増えている。通販需要の高まりでトップラインは心配していないが、事業構造をどう変えられるかを考えていかないといけない。細かい経費の削減や効率化を進めたり、発注の仕方を変えていったり、積み重ねていくしかない。

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