2020.12.24

楽天、日本郵便と戦略的提携 物流プラットフォームを共創、3月に最終合意

楽天の三木谷浩史社長(写真左)と日本郵政の増田寬也社長(写真右)

楽天は12月24日、日本郵便と戦略的提携を結んだことを発表した。両社のアセットを活用した物流プラットフォームの開設などを視野に入れる。「新しい生活様式」のもとEC物流のさらなる規模拡大が予測される中、CX(顧客体験)向上、配送業務効率化に向け物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)加速に向け取り組みを進めていく。3月に両社間で「最終合意書」を締結し、具体的な協業内容などを盛り込む予定だ。

都内で行った共同記者会見に登壇した三木谷浩史社長は、「イノベーションを通じて暮らしを豊かにしていく。5Gの時代となりネットのスピードも上がっている。足元ではコロナを受け新しい生活への移行が進んでいる。ECが流通の20%占めるチャネルに成長するのではないか。そのためには、いかに安定した物流網を構築するかが大事になる。これまでも日本郵便とさまざまな協力関係を築いてきた。さらに進化すべく物流面の協業を強化する。楽天と日本郵便のアセット(資産)で次世代の物流プラットフォームをつくる。金融や携帯電話などでもさらなる戦略的提携を結ぶ」と話した。


楽天 三木谷浩史社長

日本郵便の衣川和秀社長は、「新しい生活様式に移行する中、宅配が増加している。安定した配送ができるのか危機感を持っている。国民生活に必要不可欠なECを守るという強い思いがある。唯一無二の強みである当社の2万4000の拠点と、楽天のデジタルを活用し、EC物流をテクノロジーで変革する一大プロジェクトだ。新たな社会インフラとしてのオープンなプラットフォームを築いていく」と話す。


両社のアセットを生かす

楽天の小森紀昭執行役員は、「EC物流が急拡大し、ユーザーのニーズも多様化している。両社のデータを持ち寄り、新たなプラットフォームを作る。物流のDXを促進し、CXの向上や業務効率化を図る。物流専門のアプリを開発し、利用者にポイントを付加する考えもある。合弁会社の設立も視野に入れている」と話す。


アプリで配送や受け取りを確認できるサービスも視野

日本郵政の増田寬也取締役は、「物流以外でもあらゆる分野の提携もにらんでいる。楽天モバイルの普及のために郵便ネットワークの活用も検討する。3月に締結する最終合意書に具体的な内容を可能な限り盛り込む。オンラインとオフライン、それぞれ大きな強みを持つ2社は最高のパートナーだ」と話した。


写真左から楽天の小森紀昭執行役員、三木谷浩史社長、日本郵政の増田寬也社長、日本郵便の衣川和秀社長

両社の戦略的提携は今年7月、楽天から持ち掛けたという。これまでも楽天と日本郵便は提携関係にあり、「楽天市場」の出店者向けに日本郵便の宅配サービスを特別運賃で提供していた。EC市場がさらに拡大する将来を見越し、より深い提携を結ぶことにした。データ連携による配送の効率化、需要予測なども研究していく。

楽天の三木谷社長は、「楽天市場」出店者のメリットとして「品質・速さ・価格において強みがある物流プラットフォームをより効率的に構築できる。楽天以外の荷物もまとめて配送することで効率化を図るビジョンもある」と説明する。


オープンな物流プラットフォームを構築する

オープンな物流プラットフォームを構築することで、「楽天市場」以外のモール出店者や物流事業者も恩恵を受けられるようにしたいという。

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