2020.03.04

楽天、衛星通信ネットワークのASTに資本参加 携帯電話の全世界カバー率100%へ

星通信ネットワークに期待を寄せる三木谷社長

楽天は3月3日、米AST & Science, LLC(以下「AST」)に対し、リードインベスターとしての出資を行ったと発表した。ASTへは英・Vodafone Group Plc(以下「ボーダフォン」)も出資している。楽天とボーダフォンは今回、ASTへの出資するとともに、ASTと戦略的パートナーシップを締結。世界初の試みである、宇宙から送信するモバイルブロードバンドネットワークの構築により、地球上における携帯電話サービスのカバー率100%の実現を目指す。

ASTは宇宙空間や地上に関連する豊富な特許技術および知的財産権を保有しており、ASTが構築する低軌道人工衛星からの低遅延な衛星通信ネットワークは、世界で初めて市販されているスマホを用いて直接接続できる衛星通信ネットワークとなる見込み。ASTが提供する衛星通信ネットワークのサービス名称は「SpaceMobile(スペースモバイル)」となる。

ASTは現在、パートナー企業に対して4Gサービスの提供準備を進めており、将来的には5Gサービスの提供も予定。同社の通信ネットワークでは、特別な衛星通信機器を使用せずに、衛星通信ネットワークと地上のモバイルネットワーク間においてシームレスなローミングが可能。データ通信料も地上のモバイルネットワーク間のローミング価格と同程度で提供できる予定だという。

2019年4月には、AST初の試験用人工衛星「BlueWalker 1(ブルーウォーカーワン)」の打ち上げにも成功しており、ネットワークの構築に必要な技術の実証を進めている。これまでにASTが受けた投資金額の合計は1億2800万米ドル。

今回の出資にあたり楽天の三木谷浩史社長は、「ASTが進める新規事業は、楽天グループと非常に高い親和性があります。楽天モバイルは、日本において市場をリードするMNO(移動体通信事業者)となるため、そして、世界市場においてもグローバルソリューションプロバイダーとなるためにさまざまな戦略をとっており、今回の投資もその一つです。楽天は、ASTへの戦略的な出資により、イノベーションを通じて、電波が届きにくい地域にいるお客さまへのサービス提供や自然災害発生時における国内通信ネットワークの提供を強化する可能性を得ました」と述べている。

ASTのChairman兼CEOであるAbel Avellan氏は、「当社の衛星通信ネットワークは、全世界で年間1兆米ドル規模へと成長しているモバイル市場における大きな変革となります。それは、全世界50億人の携帯電話ユーザーが日々直面しているサービスエリアの空白を埋めることが可能となるからです。世界で携帯電話サービスが不足しているコミュニティーへ想定よりも早いサービス提供を可能にし、何十億もの人々に対してデジタル経済へのアクセスをもたらします」と述べている。


自社のサービスをプレゼンするASTのAbel Avellan氏

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