2020.11.04

【コロナで顕在化した在庫問題!売上を増やし在庫を減らす新手法とは?】第7回「原価抑制のはずが…大ロット発注で粗利減という落とし穴」



「変化」に強くなるには発注業務の負荷がカギ


値引きと評価損を減らしてより多くの利益を生み出すためのポイントは、「変化に強い仕組み」をつくることです。

値引きや評価損は在庫過多を放置することが原因ですが、AIを用いるなどして需要予測をすれば在庫過多は解消されるのでは、と考える方が多いかもしれません。

しかし、AIによる予測には精度に限界があり、小売の現場で実用に耐えるレベルにはありません。この点は本連載の1回目(https://netkeizai.com/articles/detail/1031)で触れた通りです。

つまり、「予測は外れる」「変化は常に起きる」ということを前提に、変化に強い仕組みをつくることが求められるのです。

これまで商品の値引きや、売れ残り在庫の評価損を余儀なくされてきたのは、競合店の値下げ/競合店の欠品/天候/販売員の気分――といった予期せぬ変化が起こるためです。しかし、変化に強い仕組みがあれば、適時に販促などの適切な手立てを打てるようになるので、値引きや売れ残りを最小限に抑えることができます。

「変化に強い仕組み」の最も重要なポイントは発注(仕入れ)に関することです。

小売業には発注リードタイムが付きものであり、少なくともリードタイムと同じ期間で売れるであろう数量が手元にないと欠品が発生することになります。なので、リードタイムが長い商品の発注数量は多くなりがちです。

下図の例を見てください。発注頻度が低い場合(図の左)、1回の発注量は1000個になります。これに対し、高い頻度で少量の発注を繰り返す場合(同右)だと、1回の発注量は100個に抑えられます。



どちらが売れ残りリスクが小さいでしょうか。もちろん右側ですよね。右のケースでは、最初に100個発注した後で50個が売れ残ってしまったら、次の発注で発注量を減らせば良いわけです。つまり、予測精度が同じ50%でも、売れ残りリスクは違うのです。

「変化に強い」とはこういうことを指します。これまでは発注業務の負荷が高いために発注頻度を低くせざるを得ず、1回の発注数量が多くなっていました。

つまり、発注数量を抑えたければ発注頻度を上げる必要があり、発注頻度を上げるには発注業務の負荷を下げる必要があるということです。

これが「変化に強い仕組み」の第一歩です。

当社は、発注業務の負荷を下げるためのツールとして、クラウドサービス(SaaS)「FULL KAITEN」を開発し、小売企業などに提供しています。大手アパレルやメーカー、楽天ショップオブザイヤー受賞店舗などEC・実店舗を問わずご利用いただいています。

FULL KAITENの回転率向上機能は、AIが過去の販売データなどを基に今後の販売数をSKUごとに予測。推奨発注数を自動的に計算するので、業務負荷を大幅に低減することができます。さらに、実在庫数や発注残(発注して納品待ち)を考慮して発注できるため、欠品と売れ残りのリスクをさらに低減します。

事業規模がある程度の大きさになってSKU数が多くなると、FULL KAITENのようなツールは大きな助けになります。ご興味をお持ちのかたは是非お問い合わせください。

次回は、EC事業者が目を背けがちな人口動態と個人消費の不都合な関係についてご説明します。お楽しみに。


【著者プロフィール】


フルカイテン株式会社 
代表取締役 瀬川直寛(セガワ・ナオヒロ)

売上増加と在庫削減の両立を実現するシステム「FULL KAITEN」を開発し、クラウドサービスとして大手小売企業や楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗などに提供。 EC経営者として倒産危機を3度乗り越えた経験を踏まえた理論・考え方は、多くの企業から高く評価されており、「FULL KAITEN」にも多くの問い合わせが寄せられている。

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