オンラインでの販路開拓やファン作りのチャネルとして、クラウドファンディング(CF)を利用する企業が増えている。コロナ禍を受け、デジタル化やEC参入の糸口として、イベント事業者や飲食店がCFを活用するケースも多い。CFのプラットフォームとして存在感を高めているのが、マクアケが運営する「Makuake(マクアケ)」だ。2013年のサービス開始後、掲載プロジェクトは累計で1万件を突破。中には3億円超の支援金額を集めるプロジェクトもある。「応援購入」という新たな価値観を広めるべくテレビCMも展開し、事業を加速している。「マクアケ」を活用し事業展開に成功した事例を、3つの切り口からまとめた。
新商品の発表の場
事業者が「マクアケ」を活用するケースとして最もオーソドックスなものが、「新商品の発表の場」だ。単純な資金調達や商品の販促だけでなく、近年はテストマーケティングの場として有用性を発揮している。
「『マクアケ』には、新しい物や、ストーリーのあるものに共感してくれるようなユーザーが集まってきている。開発した商品の需要を探る場として、活用されることも増えてきている」(執行役員 戦略広報本部長・矢内加奈子氏)と話す。
コロナ禍の影響で生活スタイルや消費動向が変化し、新たな需要が生まれる中、その傾向はより増しているという。
直接接触を避けるための回避グッズといった感染対策用品、「Zoom映え」を意識したTシャツや、家庭内で集中できる環境を構築する「Think Lab HOME」など、「新しい生活様式」を反映させた新商品が幅広い支持を得ている。
家用作業ブースなど「新しい生活様式」に対応したアイデア商品が並ぶエレベーターボタンなどで直接接触を回避する用具感染リスクを回避しながら楽しめるレジャーとして、需要が伸びているキャンプグッズも、プロジェクトの掲載やユーザーからの関心が増しているという。
飲食店のEC参入
コロナ禍の影響を大きく受けた業態に、飲食業界がある。「マクアケ」を活用し、新たなサービスをオンライン上で展開する飲食事業者も増えてきている。
大阪市などに店舗を持つ居酒屋「ぎんすけ」は、家飲み料理専門店としてプロジェクトを掲載。「自宅に居酒屋の体験を」をコンセプトにし、料理セットや盛り付け皿を販売するプロジェクトが「家飲み需要」に響き、大きな支持を得た。
飲食店はオンラインならではのサービスを展開東京・六本木の豚しゃぶ専門店「豚組しゃぶ庵」は、コロナ禍を受け通常の店舗運営を休止。オンラインでの販路展開と実店舗再開に向け「マクアケ」にプロジェクトを掲載した。
店舗での体験を再現するため、食材に加えて作り方ガイドや店舗のBGMを再現したプレイリストも提供。CFを通じ新たなファン作りを実現している。
「ただ、資金調達のために『マクアケ』を利用するということではなく、その店独自のアイデアにより、プロジェクトを通じて新しい挑戦を行うケースが多い」(同)と話す。