2019.10.10

【〈南米ルポ〉楽天が参考にした「メルカドリブレ」のリアル】第2回

南米最大級のECモール「メルカドリブレ」

第2回 自社の物流利用で送料の50%を負担


楽天が来年2月以降に実施する「送料無料ラインの統一」は、南米最大級のECモール「MercadoLibre.com(メルカドリブレ)」のサービスを参考にしたという。本紙記者として取材に奔走し、現在は南米に滞在する志田岳弥氏が、現地で「メルカドリブレ」のリアルに迫った。第2回は「メルカドリブレ」の「送料無料ライン」施策を陰で支える、出店者向け物流サービス「メルカドエンビオス」の具体的な内容や強みに迫った。「メルカドエンビオス」では、出店者にかかる料を最大50%負担するという。


メキシコ全体の87%に達する


MercadoLibre(以下MELI)が運営する「メルカドリブレ」は2016年8月、初の試みとしてメキシコで送料無料サービスを開始した。

対象となったのは、30ドル以上の商品だ。開始から6カ月間で販売した商品のうち、67%で送料無料サービスを提供。対象商品の流通総額はメキシコ全体の87%に達した。

サービス開始に伴う送料は、MELIが負担。全額負担だったかどうか、発表資料には記載がなく、MELIに送付した質問に対する回答もない。ただ、2016年10-12月期(純第4四半期)にはメキシコにおける配送料として120万ドルを支出した。

荷物追跡、紛失補償も


送料無料サービスの狙いは、配送サービスの改善にあったようだ。

出店者はMELIが提供する物流サービス「メルカドエンビオス」を利用することで、送料無料サービスにかかる費用の最大50%をMELIに負担してもらうことができる。さらに、簡易な伝票発行や荷物の追跡、紛失補償などのサービスも付いている。

一般的に中南米では配送インフラが未成熟であり、商品が紛失するケースも珍しくない。アルゼンチンのネウケン州の州都ネウケンで、「メルカドリブレ」のユーザーからは「頼んだ商品が届かなかったことがある」という話を聞くことができた。


物流サービス「メルカドエンビオス」は3通りのサービスを提供。2018年のデータでは配送だけ行うドロップシッピングの利用者が全体の86%を占めている

約半数を自社物流で


そうした環境下で「メルカドエンビオス」の利用店舗は、堅実な配送を実現できる。さらに送料無料サービスにより露出を強化し、評価によっては送料無料にかかるコストを最大50%カットできるというわけだ。

MELIは2016年7-9月期(純第3四半期)の決算報告資料で「送料無料とフルフィルメントサービスの提供により、『メルカドエンビオス』による配送比率が、前年同期の18%から43%に上昇し、予想を上回った」と成果を説明した。



■第1回「送料無料化で成長、流通総額は1.3兆円」

■第3回(最終回)「59%が『送料無料ライン』で利用頻度増加」

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