2020.10.09

【コロナで顕在化した在庫問題!売上を増やし在庫を減らす新手法とは?】 第6回「狙う客単価帯を上げても注文は減らないという事実」


客単価を上げても注文は減らない


ここで、「客単価が上がれば、注文数が減ってしまうのではないか」という疑問が湧いてくると思います。しかしながら、6年余りにわたり子供服や食器のECを経営した筆者の経験からすると、これは取り越し苦労です。

客単価5000円台というボリュームゾーン近辺の買い物をしている消費者というのは、実は6000円超でも5000円未満でも、どちらでも買い物ができる人たちがほとんどなのです。

試しに皆さん自身が買い物をするときのことを想像してみて下さい。5000円までの予算で来店したものの、気に入った商品が5500円だった場合、5500円の買い物ができない人は果たしてどれくらいいるでしょうか。

逆に、5500円の買い物ができる人は4000円や3000円の買い物は当然できます。ここで誤った接客をしてしまうと、売上をみすみす逃してしまいます。

ただ、「SKUが多すぎて、売上データ(レシート)から客単価の向上につながる商品を絞り込むのは大変だ」という方もいらっしゃると思います。

そこで当社は、膨大な売上データを対象にした分析を容易に実践できるツールとして、クラウドサービス「FULL KAITEN」を開発し、小売企業などに提供しています。FULL KAITENは現在、大手アパレルやメーカー、楽天ショップオブザイヤー受賞店舗など多くの企業に導入していただいています。


本格的な分析には膨大な労力がかかる


FULL KAITENは、導入企業から売上明細や商品マスタ、在庫データなどの各種データを受け取り、どの商品が、どの店舗で、どの商品と一緒に、いくらで売れたかを集計します。そして、様々な統計計算と需要予測を交えて分析します。

そのアウトプットとして、全体の客単価向上のために狙うべき客単価帯を示し、その客単価帯でよく買われている主力商品を一覧表示します。

もちろん、FULL KAITENを利用しなくても、例えば直近1週間や1カ月など期限を区切って全ての注文を客単価帯ごとに分布させ、狙う客単価帯の注文を抽出して主力商品を手作業で見つけるだけでも良いでしょう。

ただ、そうした分析作業を本格的に行うとなると、多大な労力と時間がかかるものです。しかし、そうした作業自体は付加価値を生むものではありません。従業員には販促の施策立案などに業務時間を使ってもらうべきではないでしょうか。

事業規模がある程度の大きさになると、FULL KAITENのようなツールは大きな助けになりますので、ご興味をお持ちのかたは是非ご連絡ください。

次回は、原価抑制のための大ロット発注が、実は原価率を引き上げて粗利を蝕む陥穽について解説する予定です。どうぞお楽しみに。



【著者プロフィール】


フルカイテン株式会社 
代表取締役 瀬川直寛(セガワ・ナオヒロ)

売上増加と在庫削減の両立を実現するシステム「FULL KAITEN」を開発し、クラウドサービスとして大手小売企業や楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗などに提供。 EC経営者として倒産危機を3度乗り越えた経験を踏まえた理論・考え方は、多くの企業から高く評価されており、「FULL KAITEN」にも多くの問い合わせが寄せられている。

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