2026.10.01

【「特定商取引法」「消費者契約法」改正の方向性】EC全体が規制対象 サンクスメールの義務化やステマ規制も

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消費者庁の検討会がまとめた中間とりまとめは、定期購入やサブスクリプションにとどまらず、一般のEC事業者全体に大きな影響を及ぼす可能性がある内容となっている。悪質業者の排除が進む一方、過度な規律が健全な事業活動を圧迫するリスクも浮き彫りとなっている。

今回の見直しでは、注文完了後に契約内容を通知する電子書面(サンクスメール)の送付義務化や、消費者の誤認を招く導線設計「ダークパターン」への規制などが含まれている。一般のEC事業者であってもシステム改修などのコストが発生する見通しだ。これまで景品表示法で規制されてきた「ステルスマーケティング(ステマ)」についても、特定商取引法上の禁止行為に格上げされ、業務停止命令などより重い行政処分の対象となる。

悪質手法の取り締まりが歓迎される一方で、規制の適用範囲がまっとうな事業者にまで及び、通常のウェブマーケティングやUI設計が抑制される事態は避けなければならない。具体的な規制の境界線は、今後の国会での法案成立前後に策定されるとみられるガイドラインに委ねられる。健全な市場の発展を損なわないルールとなるよう、今後の議論を注視する必要がある。



【定期購入・サブスク規制】

解約妨害の規制と契約条件表示を強化


「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の中間とりまとめでは、サブスクサービスや定期購入契約に対する規制の方向性が明確に二つ打ち出された。一つは、”サンクスメールの義務化”、もう一つは”過度に複雑な解約手続きの違法化”だ。消費者契約法の見直しを議論する検討会のとりまとめでは、事業者が意図的に解約方法を分かりにくくする行為を禁止することを盛り込んでおり、適格消費者団体の差し止め請求を可能とする案を盛り込んだ。


確認画面でアップセルの規制


契約段階では、申し込み前の最終確認画面において、支払い総額や契約期間、解約条件などを消費者が一元的に把握できるよう、表示義務の範囲が拡張される。

注文完了後には契約内容を記載した電子書面を遅滞なく消費者に送付することを義務付ける。いわゆる「サンクスメール」の義務化だ。購入後に、消費者が手元で契約条件を確認できるようにする。

とりまとめでは、最終確認画面でアップセルを行う手法についても、規制を導入する。注文確定後に、アップセルした条件を、アップセル前の条件と対照表にするなどして分かりやすくすることを義務付けた。

定期通販やD2C市場では、定期購入の最終確認画面で、よりロイヤルティーの高い商品やサービスのアップセルの提案をする方法が一般的となっている。最終確認画面まで到達した顧客は、アップセルしても成約につながる可能性が高いからだ。

今後、最終確認画面で行うアップセルを行う場合、システムの改修を行う必要が出てくる可能性がある。


解約の複雑化も禁止に


解約段階においては、解約の手続きを不当に遅延させたり、過度に複雑な手順を強いたりする行為を、明確な違反行為と位置付けている。

例えば、定期購入契約を電話で解約しようとする顧客をLINEに誘導したり、解約理由を長文で書かせたりする行為が、違反に当てはまるとみられる。

アプリ内から直接解約できず、ウェブ上の動線を分かりにくくしているケースや、一定期間前の解約予告を求める複雑な条件設定などに対し、手続妨害として行政処分の対象とするとしている。

消費者がいつでもスムーズに契約を解除できる環境の実現を目指すという。

消契法の検討会のとりまとめでは、事業者が消費者の解約や返金などの手続きを不当に阻害する解約妨害を禁止する規律の創設が盛り込まれた。

具体的には、解約時におけるうその告知や困惑行為、受け入れ拒否や手続きの遅延、返金の拒否などが禁止対象となっている。

違反行為については、適格消費者団体による差止請求の対象となる。罰則は規定されないとみられるが、違反した場合、消費者団体からサービス内容の是正を求められ、場合によっては取り消しを求める裁判に発展する可能性もある。

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