イーシーキューブが変革を続けている。イーシーキューブでは、エンタープライズ領域を見据えたマーケティング体制の強化を進めている。2025年10月から同社のマーケティング支援に携わってきた高橋尚久氏は、現在、執行役員CMOを務める。今年6月には、業界実務に精通した外部エキスパートと連携し、企業固有の商習慣や業務フローを踏まえ、EC・DXの構想づくりから、システム設計・実装方針の具体化までを支援する「EC-CUBE Industry Experts」の提供を開始した。第1弾として、D2Cをはじめとするデジタル商取引設計に知見を持つ西守穣氏との連携を開始した 。高橋執行役員CMOに「EC-CUBE Industry Experts」の詳細や、イーシーキューブが目指す未来などについて迫った。
――高橋氏は2025年からイーシーキューブに関わっています。これまでの経歴を教えてください。ヤフーでデジタル広告領域に携わった後、Googleでは約7年間、広告プロダクトの顧客支援やオペレーション改善、チームマネジメントなどに従事しました。その後、事業会社やスタートアップでCMO・マーケティング責任者を経験し、AIを活用したチャットコマース事業を展開するZEALSなどにも参画しました。
その後は独立し、企業のBtoBマーケティングや事業成長支援に携わりました。2025年10月から業務委託としてイーシーキューブのマーケティング支援に携わり、その後、執行役員CMOに就任しました。
――イーシーキューブに入社してから実施したことは何ですか?最初に行ったのは「自分たちのターゲットは誰か」を再定義することです。イーシーキューブは20年の歴史がありますが、今の市場には「Shopify」のような強力な競合もいます。そこで、「EC-CUBE」を採用した企業や、構築・導入を支援するパートナー企業にインタビューを行いました。
リユース、Marketplace、BtoB受発注に強み
――その結果、どのような発見がありましたか?明確になったのは、「標準的な機能では解決できない、複雑な業務要件を持つ企業」こそが私たちの主戦場だということです。特に適合性が高い領域として、リユース、Marketplace/モール型、BtoB受発注などが見えてきました。
まず一つ目の領域はリユース(中古)です。1点物管理、買い取り、状態ランク判定、実店舗との在庫連動など、標準的なカートでは対応が難しい領域です。
次にマーケットプレイス(モール型)。出店者管理、商品・受注管理、権限設計、手数料・精算など、複数の事業者をまたぐ複雑な業務設計が必要になる領域です。
そして最後が近年注力しているBtoB(企業間取引)。独自の商流、承認フロー、得意先ごとの価格設定など、企業ごとの商習慣や業務フローがシステム要件に直結しやすい領域です。こうした領域こそ、「EC-CUBE」の柔軟性を生かせると考えています。
――世の中だと、業務をシステムに合わせるという考え方もあると思いますが、これとは逆の考え方ですね。その通りです。全ての業務をそのままシステム化すべきだとは考えていません。標準化するべき業務は標準化する。一方で、企業の競争力や顧客体験につながる独自の商習慣や業務フローまで、システムの制約に合わせて諦める必要はありません。そうした企業固有の要件にシステムが適応できることが重要だと考えています。こうした考え方を「業務適応型コマースプラットフォーム」として打ち出しています。
――「EC-CUBE」を導入する決め手についてもインタビューされたそうですが、反応はどうでしたか?意外な声を寄せられました。特に数千万円以上の大型プロジェクトでは、ウェブ上の比較だけで意思決定するケースは多くありませんでした。むしろ、「周囲の信頼できる専門家やパートナーからの推奨」が重要な意思決定の要因になっていました。
――具体的にはどのような方々ですか?例えば、リユース業界であれば、POS・基幹システムなどの業界特化型ベンダーや、業界に精通したコンサルタントなどです。彼らが「イーシーキューブなら、あなたの会社の複雑な業務も実現できますよ」と一言添えてくれることが、有力な検討・選定のきっかけになっていました。
▲高橋尚久執行役員CMO