2020.09.28

楽天ユニオン、「au PAY マーケット」にアフィリエイト一斉導入の中止を直訴 幹部とオンラインで会合

写真は今年1月の「楽天ユニオン」の記者会見の様子。写真左から法律顧問の川上資人弁護士、勝又勇輝代表、坂井健一副代表

「楽天市場」 の一部の出店者で作る団体「楽天ユニオン」は9月28日、定例会においてKDDIグループのauコマース&ライフが運営するECモール「au PAY マーケット」のアフィリエイト一斉導入を止めるように直訴したことを明らかにした。「楽天ユニオン」は8月18日、「楽天市場」のアフィリエイトの料率変更に対しても独占禁止法の優越的地位の濫用に当たるとして公正取引委員会に排除措置請求を実施している。今回、初めて「楽天市場」以外のECモールにアクションを起こしたことになる。

「au PAY マーケット」は出店者に対して、10月1日からアフィリエイトプログラムを導入することを通知している。商品カテゴリーによって2〜8%のアフィリエイト手数料を課す予定だ。

「楽天ユニオン」はauコマース&ライフの上層部とオンラインミーティングを実施し、アフィリエイトの一斉導入は出店者の利益を損なう恐れがあるため、導入の中止または選択制での導入を提案した。もしこのまま導入された場合、損害賠償請求を訴えざるを得ない状況になるとも伝えた。auコマース&ライフ側は予定通り導入する方針を撤回することはなかったが、再度協議する旨も話していたという。

「楽天ユニオン」は「モールが何でも一方的に導入できる前例を作ってしまうと事業者として安心して運営できない。『au PAY マーケット』も『楽天市場』に倣ってアフィリエイトを導入している感がある」と指摘する。


「店舗の利益になるか」が焦点


「楽天ユニオン」の顧問弁護士である川上資人弁護士は、「今回の件は民法の548条の4『定型約款の変更』に照らして有効かどうかというのが焦点。条文には『一般の利益に適合するか』『合理的なものか』という条件を満たさなければ、定型約款の変更はできないと記されている。つまりアフィリエイトを導入して送客が増え、利益が上積みされれば『一般的な利益に適合』し、『合理的』であると言える。ただ、『楽天市場』の時のように送客が減るケースがあれば、店舗に不利益を被らせていることになる。『au PAY マーケット』側にも一斉導入は非常にリスクが高いということは伝えた」と話した。

「楽天ユニオン」は「楽天市場」の「共通の送料無料ライン」導入に反対することをきっかけに設立されている。これまでは「楽天市場」の取り組みに対してだけ是正を訴えていたが、「楽天ユニオン」の勝又勇輝代表は以前から、他のモールの取り組みにも問題を感じれば働きかけていく方針を話していた。将来的には中小企業等協同組合法による協同組合を設立し、大手モール事業者と対等に協議できる組織を立ち上げたい考えだ。

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