2020.09.24

【最短でリピーターを倍増させるCRMノウハウ】第3回 休眠顧客に再購入してもらう効果的な取り組みとは?

アドブレイブ 執行役員 中村隆嗣氏



休眠対策に効果的な施策とは?


顧客が休眠した理由によって、効果的な対策も変わります。

しかしながら、どの顧客がどんな理由で休眠になるかは正確に把握することは出来ません。アンケートなどの調査結果を吟味して、多くの人が挙げる理由から順にひととおり対策していくことをおすすめします。

代表的な休眠理由と、それに対する対策は以下の通りです。

こういった施策は手間に感じるかもしれませんが、CRMツールによって施策を自動化することで可能となります。
 

① 特に大きな理由はなくリピートしない顧客

過去の調査でも明らかになっているのですが、ECサイトでリピートしない理由として最も多い回答は、意外なことに「特に大きな理由はない」です。
こういった顧客は、きっかけさえあればリピートにつながります。担当者によっては嫌がる方もいますが、事実として最も効果的なのは、クーポンや期間限定の値引き、ポイント付与、おまけ、送料無料などの「インセンティブ訴求」です。出来るだけ対象者や期間の限定感を出すことで効果を最大化できます。

あまり「値引きイメージ」を出したくない場合は、最低限の値引きでも、実施するだけで大きな効果を上げることができます。同じインセンティブばかりでは効果が落ちてきますので、毎回さまざまな内容で変化をつけて、刺激に慣れて休眠させないことが重要です。
どうしてもインセンティブをつけたくない、もしくはつけられない事情がある場合は、限定商品や新商品訴求、新セットを訴求するなど、商品の見せ方を変えることで再購入を訴求してください。

 
② 商品に対する理解不足によりリピートしない顧客

これは、顧客が商品やサービスの価値を十分理解できていないことから、リピートにつながっていない状態です。特に健康食品や化粧品などの単品リピート通販に多いです。対策としては、顧客に対して、商品やブランドのベネフィットをあらためて伝えることです。例えば「長期継続している顧客の声」を伝えれば、商品を利用することでハッピーになることが伝わります。自分がそうなっている状態を想起させられることが最も効果的なのです。

商品開発の想いやこだわりなども重要ですが、それよりもいかに顧客に「想像させるか」がリピートにつながります。顧客のポジティブな口コミは、どんなキャッチコピーよりも効果的なのです。ある程度の費用を掛けてでも集めるようにしてください。例えば、顧客の声をキャッチコピーとしてメールの件名に使うことは、開封を増やすために非常に有効です。メール本文中でそれをクリックできるようにしてページに誘導することで、クリック率は何倍にもなります。インスタグラムなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)も再購入につなげる重要な要素となります。


③ 販売形態がハードルになっている顧客

こちらも単品リピート通販に多いケースですが、定期購入に抵抗がある人が一定数存在します。可能であれば、そういった顧客には、単品での再購入やまとめ買いでの割引をオファーすることで、再購入につなげることも可能です。都度買いで複数回リピートをした段階で、定期購入をオファーすることで取りこぼしを防ぐこともできます。


④ 他ブランドへの乗り換えをした顧客

いわゆる「ブランドスイッチ」をした顧客です。こういった一度離れてしまった顧客を引き戻すことは、非常にハードルが高いのですが、離れた理由をしっかりと理解したうえで適切に対応することで、再購入につながります。ブランドスイッチの理由は製品やサービスへの不満や、金額の問題、企業イメージの問題など複数の理由が想定されますが、いずれにしても、顧客の声を聞いたうえで時間をかけて信頼を取り戻す“正攻法”でしか戻ってきていただく方法はありません。そのためアンケートを活用し、回答内容に応じたメッセージ配信をする方法が有効です。


改善には精度とともに実行スピードが重要


代表的な休眠対策をご紹介してきました。「鉄は熱いうちに打て」というように、適切なリピートタイミングから時間が過ぎれば過ぎるほど、再購入してもらうことは難しくなります。

購入後のコミュニケーション以前に、購入体験そのものに感動してもらうレベルのサービスを提供することにこだわってください。それがリピートを最大化させることへの土台となります。
そして同時に、今まで取りこぼして機会損失となっている顧客に、最大限戻ってきていただけるよう、精度の高いメッセージ配信を戦略的に実行してください。

重要なのはスピードです。顧客体験を改善しつつ、精度の高いCRM施策をスピーディーに実行できなければ、競争の激しいEC市場で勝ち残っていくことはできません。

 
【著者プロフィール】

株式会社アドブレイブ
執行役員 中村隆嗣(なかむらたかつぐ)

2003年に株式会社北国からの贈り物に入社。自社サイトの立ち上げ期から参画しマーケティング責任者として月商3億円を超える成長まで導く。2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランド、アジアTOP3化粧品メーカーなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングおよびCRMプロジェクトを手がける。コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年にアクションリンクを立ち上げ、2019年アドブレイブに執行役員としてジョインし現在に至る。


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