ウェブマーケティングにおける新規顧客獲得の現場で、米国メタ(Meta)が運営するSNS「Threads(スレッズ)」の存在感が急速に高まっている。運用型広告の新たな配信先や、インフルエンサーを起点とした情報拡散の媒体として、EC事業者の成果報告が多く聞かれている。
広告代理店のアドウェイズによると、「スレッズ」に美容液の広告を出稿したところ、CPAが4000円台で新規顧客の獲得につながった運用例があるそうだ。テキスト中心の気軽なコミュニケーションを好む日本のユーザー特性を背景に、特にコスメやスキンケア領域において、既存の主要SNSを超えた効率で、新規顧客を獲得する事例が生まれている。
リプライの割合は高水準
メタによると、「スレッズ」は、2023年の提供開始以来、順調に成長を続けており、現在、世界の月間アクティブアカウント数は4億、デイリーアクティブアカウント数は1億5000万に達しているという。
中でも、日本はグローバル市場において利用が特にアクティブで、メタの戦略最重要国の一つに位置付けられているという。
日本市場における「スレッズ」の特徴は、テキストによる「気軽な会話」の定着にあるそうだ。投稿のインプレッション(表示回数)に占めるリプライ(返信)の割合は、世界平均でも50%と高水準だが、日本はこれをさらに上回る水準としている。
テキストだけの投稿割合も世界平均より高く、テレビ番組や音楽、家事、子育てといった共通の関心を軸にしたリアルタイムのコミュニティーが乱立し、生活者の日常に深く浸透しつつあるとみている。
他媒体より効率的なCPA
こうした「スレッズ」の利用状況が、広告効果の劇的な向上という形でマーケティング市場で存在感を見せている。
ネット広告大手のアドウェイズの広告事業本部アカウントマネジメントディビジョンによると、メタが展開する主要媒体であるフェイスブック、インスタグラム、スレッズの中で、直近3カ月ほど前からスレッズ経由の広告効果が目に見えて良化しているという。
同社では「ユーザー数の増加に加え、気になる投稿に対してリポストやコメントを気軽に残せるX(旧ツイッター)に近い拡散性の高いUX(ユーザー体験)が、日本での定着と効果向上を後押ししている」と分析する。
同社では現在、スレッズ向けにバナー広告や動画広告を中心とした運用を展開しているが、CPA(顧客獲得単価)が安く運用できているそうだ。
実際の運用事例として、レチノール配合美容液のトライアル商品訴求では、インスタグラムやフェイスブックでのCPAが5000円前後であったのに対し、スレッズでは4000円台での獲得に成功したという。
獲得効率の足踏みに悩むEC事業者にとって、既存媒体より安価に新規客を囲い込めるスレッズは、有望な投資先となりつつあるようだ。
スレッズの広告配信は、フェイスブックやインスタグラムと共通の管理画面から行える仕様となっている。
広告主がメタの広告自動化ツール「Advantage+」や手動配置を用いて新規キャンペーンを作成すると、スレッズのフィードにも広告が基本配置される仕組みだ。
これにより、事業者は新たなクリエーティブや入稿の手間を最小限に抑えながら、成長途上にあるスレッズの良質なユーザー層へアプローチできるメリットがあるとしている。
メタは、スレッズ利用者の4人に3人が、少なくとも1つのビジネスアカウントをフォローしていることを明らかにしている。ユーザーの多くが、「スレッズ」上で企業情報の発信に興味を持っていることが分かる。