2020.09.17

【サンプル転売問題】短期間で1500万円の被害も アフィリエイターが暗躍


健康食品や化粧品の「初回お試し品」を、購入者が転売する「サンプル転売問題」が、EC事業者の悩みの種になっている。ECの専門紙「日本ネット経済新聞」の取材で、高額な被害の裏に、悪質なアフィリエイターの暗躍があることが明らかになってきた。不正なアフィリエイターは、自分のブログなどから多数の消費者に、サンプル商品の代理購入を呼び掛け、購入商品をアフィリエイターがアマゾンで転売するという手口で、被害を拡大させている。あるEC企業は、不正なアフィリエイターからの注文に気付き、間一髪でことなきを得た。「気が付かなければ、短期間に数千万円のアフィリエイト報酬を騙し取られていた可能性があった」と話す。事業者をはじめ、業界団体やプラットフォーム、不正対策ツールの提供企業などがこぞって対策に乗り出しているが、不正アフィリエイターは網の目を縫うように、不正な購入・転売を繰り返している。


数百万円の被害が多数


悪質なアフィリエイターによる、サンプル品の購入・転売の問題(以下、転売問題)は、2015年ごろから単品通販業界内で問題になっていた。日本アフィリエイト協議会の笠井北斗代表理事によると、転売問題は2018年に一度ピークを迎えたが、グーグルの行ったいわゆる「健康アップデート」によって、不正購入の件数が激減したという。

ここに来て、転売問題が再燃、被害が続出しているようだ。

中堅化粧品ECのA社では、2020年3月ごろ、特定のアフィリエイト経由で定期購入契約をした顧客について、初回で解約するケースが極端に多いことに気づいたという。A社では、そのアフィリエイトサイト経由で売れたサンプル品を転売した際に生じる利益を、仮に定価で売れたものとして試算。同サイトに支払ったアフィリエイト報酬と合算したところ、被害額が約1500万円に及ぶことが分かったという。

A社はすぐさま、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)に連絡し、特定のアフィリエイトリンクからの流入が、転売のきっかけになっていることを報告、対処を求めた。しかし、ASPは「状況証拠でしかない」と突っぱね、取り合ってくれなかったとしている。

ダイエットサプリを扱うB社でも、特定のアフィリエイトリンク経由で商品を購入した顧客について、初回解約が続出した時期があったという。不審に思い、このリンクの使用をNGにしたところ、解約件数が激減したとしている。B社の被害はキャンペーン実施期間に、特に多かったという。キャンペーン期間中にリンク元のアフィリエイターに支払った報酬額は、200万円以上に上ったとしている。

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