クラウドソーシングで発注
転売問題のからくりには、複数のプラットフォームや第三者の一般人も関与しており、やや複雑だ。次のような手口が多いようだ。
① 不正なアフィリエイターが、ASP経由で広告案件を受注し、リンクをブログに貼る② クラウドソーシングなどを通じて、複数の一般人に、サンプル品の代理購入を発注する③ 代理購入者に、自分のブログから広告主のECサイトに遷移させ、初回サンプル品を購入させ、解約させる④ 代理購入者に、初回サンプル品をアフィリエイター宛に送ってもらう⑤ 代理購入者から集まったサンプル品を、アマゾンやメルカリに出品するクラウドソーシングの大手プラットフォーム「クラウドワークス」には、“初回サンプル品”とは書かれていないものの、詳細が不明な代理購入を依頼する案件の発注が多数見られる。
“しらみつぶし”が対策
クラウドワークスでは、サプリや化粧品の転売につながる仕事の発注について、「ガイドラインに抵触するアカウントがあれば、発見次第、アカウント停止などの措置をとっている」(広報担当)と話している。ただ、不正な代理購入を、発注前に食い止める手段は現状ないという。
ECの不正防止対策のかっこでは、同一人物からの不正購入を判別し、注文を停止するツールを提供している。不正購入を行ったことがあるユーザーの情報を蓄積し、ツールの導入企業に情報の提供も行っている。不正なアフィリエイターから発注を受けた代理購入者が、過去に別の代理購入をしてブラックリストに載っていれば、被害を未然に防ぐことができる。ただ、初めて転売に手を染める不正購入者を止める手段は、今のところないという。
不正なアフィリエイターがどれだけいて、どのASPで息を潜めているのかは不明。闇は深い。
前出の日本アフィリエイト協議会の笠井理事は、「不正なアフィリエイターに発注したASPを使わないことが、最も効果的な対策だ」と話す。不正なアフィリエイターがはびこらないよう、ASPには、アフィリエイターの管理体制の強化が求められる。