2026.02.24

【業界大手がタッグ】イーシーキューブ、Stripeと協業 「決済」を収益生むツールに進化

0

ストライプジャパン 平賀充代表(左)とイーシーキューブ 岩田進代表(右)


「決済手数料は『コスト』である」。そのような常識が、エンタープライズECの世界で覆されようとしている。国内でナンバーワンのシェアを誇るオープンソース「EC―CUBE」を提供するイーシーキューブと、世界GDPの1.3%を支えるStripeを提供するストライプジャパンがタッグを組んだ。両社が提唱するのは、決済システムを単なるコストとしてではなく、売り上げを最大化する「投資」へと昇華させる新たな概念だ。決済成功率を極限まで高め、AIによる自律型コマースまでを見据える両社の協業は、企業のデジタル戦略をどう変えるのか。イーシーキューブの岩田進代表とストライプジャパンの平賀充代表に協業の経緯や、戦略などを聞いた。



決済成功率の向上が「最も投資効果の高い施策」


――今回の協業の狙いについて教えてほしい。

岩田:昨今、多くのEC事業者が、SNS広告やインフルエンサーマーケティング、SEOなどの「集客」には月間数百万円、数千万円を投資している。しかし、苦労して連れてきたお客さまが、最後の「購入する」ボタンを押した後にどれだけ離脱しているか、その「決済完了率」を正確に把握している事業者は驚くほど少ないのが現状だ。

実は今、日本のECサイトでは、決済画面までたどり着いたユーザーの約3割が離脱しているという深刻なデータがある。これは、穴の空いたバケツに必死で水を注ぎ続けているようなものだ。

平賀:その離脱の最大の原因は、決済の「承認率」と「摩擦(フリクション)」だと考えている。近年、カード不正利用の急増に伴い、本人認証(3Dセキュア)が厳格化された。しかし、古い決済システムを使用していると、正規の優良なお客さまであっても「怪しい」と誤認知されてエラーで弾かれたり、決済時の認証画面が複雑すぎて途中で諦めてしまったりするケースもある。

岩田:今回の協業の核心は、Stripeの高度なAI不正検知エンジンを「EC―CUBE」に統合することで、この「決済の穴」を塞ぐことにある。Stripeの導入によりライフスタイルブランド企業が98%~99%という極めて高い決済成功率を維持されているほか、別の企業では購入完了率が20%増加したケースもある。これは、広告費を一切増やさずに売り上げを10%~20%底上げできる、最もROI(投資対効果)の高い施策なのだ。

平賀:Stripeは世界中で年間1.4兆ドル(約220兆円)もの決済を処理している。その膨大なデータから「どのカード会社の、どの種類のカードが、どのような条件下で承認されやすいか」をAIが常に学習し、決済をダイナミックに最適化している。また、不正検知だけではなく、入力フォームの最適化、ワンクリックペイメントなど、Stripeには決済体験を改善するさまざまなソリューションも提供している。EC事業者の皆さまは、Stripeというインフラを「EC―CUBE」に組み込むだけで、世界最高水準の「決済成功率」を手に入れることができるわけだ。


▲ストライプジャパン 平賀充代表


大手企業のこだわりと、柔軟な「金融インフラ」の融合


――「EC―CUBE」は近年、エンタープライズ向けの支援を強化している。理由は?

岩田:SaaS型のクラウドカートは、確かに手軽で安価だ。しかし、事業が成長し、年商が数十億、数百億という規模になってくると、必ず「標準機能の限界」という壁にぶつかってくる。「自社独自のロイヤリティープログラムを作りたい」「基幹システムとリアルタイムで複雑な在庫連携をしたい」「ブランドの世界観を崩さない体験を構築したい」など、このようなこだわりを実現しようとすると、SaaSでは「仕様ですからできません」と言われてしまう。

「EC―CUBE」はソースコードを全てカスタマイズできるため、ブランドの理想を100%形にできる。クライアント企業の要望に柔軟に対応することができる。

平賀:その柔軟性はStripeの思想とも完全に一致している。Stripeはただ単に決済手段ではなく、「プログラマブル(プログラム可能)な金融インフラ」だ。「EC―CUBE」が持つフロントエンドの自由度と、Stripeが持つ拡張性の高いバックエンドを組み合わせることで、世界に一つだけの、かつ最高レベルの信頼性を持ったECプラットフォームが完成することになる。

岩田:以前は「オープンソースはセキュリティや保守が不安だ」という声もあったたが、「EC-CUBE」自体が高セキュリティ化してきたのに加え、Stripeのようなグローバル・スタンダードのインフラをコアに据えることで、事業者は「最も難しい決済部分のセキュリティ」をアウトソースできるようになり、独自のカスタマイズに集中できるようになった。

無料メルマガ会員登録   毎朝、最新ニュースやおすすめ記事を配信         

登録することで、個人情報保護方針に同意したものとみなされます。
会員登録後にメルマガの配信を停止することもできます。

RECOMMENDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING人気記事