2026.02.14

鮮冷、水産加工のD2C戦略を加速 商品シリーズごとにLP構築、ターゲットに的確に訴求

0

魚やの煮付

宮城県女川町の水産加工メーカー、鮮冷が、自社ECにおけるマーケティング戦略を本格化させている。BtoB中心の事業構造から、消費者ニーズを起点とする「マーケットイン」型の製品開発・販売体制へとシフト。ターゲットを絞った専用ランディングページ(LP)を活用し、サブスクリプション(定期便)によるファン化を促進している。老舗メーカーが、D2Cモデルの構築を急いでいる。

同社はこれまで、長年培ってきた、目利き力と加工技術を生かし、BtoBの原料供給を主軸として展開してきた。ただ、市場環境の変化や不漁などの課題に対応するため、約1年半前にマーケティング室を新設。副業人材や外部プロフェッショナルを含む少数精鋭のチームを組織し、データとリサーチに基づく製品開発体制への転換を図った。

担当者は「これまでのプロダクトアウト(作ったものを売る)から脱却。現在は、消費者のライフスタイルに合わせた『本質的な価値』を届けることを最優先している」と話す。

ECにおいて同社が取り組んでいるのが、シリーズごとの専用LPを構築する手法だ。

看板商品「国産さかなの煮付」シリーズのリニューアルに合わせ立ち上げたLPでは、50代以上の女性をターゲットにしたペルソナを設定したという。

「ECサイトは全商品を扱う『デパート』のような存在だが、それだけでは商品の背景にあるストーリーや価値を伝えきれない。まずはターゲットに合わせたLPでしっかりと価値を感じてもらい、そこからECへと誘導する動線へと変更した」(同)と言う。SNS広告もこのターゲット層に合わせて運用し、新規流入の質を高めている。

リニューアルした「国産さかなの煮付」シリーズには、EC利用者の声を徹底的に反映させたという。「電子レンジ対応」「1人前パック」「常温保存可能」といった設計は、EC利用者の声を反映した結果だとしている。魚料理特有の「におい」「後片付け」「調理の難しさ」といった購入障壁(負の解消)を排除したという。
常温でキッチンのインテリアになじむパッケージを採用。ギフト需要を意識し、贈答用としても耐えうるデザインに仕上げた。

リピート施策の柱と位置付けている定期便サービスでは、興味深い動向が見られるという。当初は健康志向の単身者による自家需要を想定していたが、離れて暮らす高齢の親へ毎月届ける見守りギフトとしての利用が増加しているそうだ。

「1食分で手軽に栄養が取れる点は、贈る側・贈られる側双方にとってメリットとなっている。アンケートでは、特定の製品を『マイサバ(私のサバ)』と呼ぶ熱狂的なファンも現れている」(同)とし、LTV(顧客生涯価値)の向上にもつながっている。

同社のECで不動の人気を誇るのが、特殊な「CAS(キャス)冷凍」技術を用いたホタテ貝柱だ。細胞を壊さずに凍らせ、解凍時のドリップを防ぐことができるこの技術は、味に厳しいプロからの支持も厚い。ECではこの技術力を品質の裏付けとして打ち出すことで、一般消費者による高単価なリピート購入を実現している。

今後も同社は、女川の資源と加工技術をベースに、ECを通じた直接対話を武器に、現代の生活者に最適な食の余白を提案していくという。

無料メルマガ会員登録   毎朝、最新ニュースやおすすめ記事を配信         

登録することで、個人情報保護方針に同意したものとみなされます。
会員登録後にメルマガの配信を停止することもできます。

RECOMMENDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING人気記事