2020.09.11

【最高の顧客体験を提供する「実感型」デジタルマーケティング】第4回「『実感型』マーケティングを実践するために必要なこと」

プラスアルファ・コンサルティング山崎雄司執行役員


大手通販・EC事業者を中心に550社以上の導入実績があるマーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を手掛けるプラスアルファ・コンサルティング。同社の山崎雄司執行役員カスタマーリングス事業部長に、顧客により豊かな体験を提供できるという「実感型」のデジタルマーケティングについて教えてもらう企画。このほど上梓したマーケター向けの書籍「最高の顧客体験を提供する『実感型』デジタルマーケティング」(東洋経済新報社刊)をひも解きながら、最終回はこれまでの連載を踏まえつつ、「実感型」デジタルマーケティングを実践するために必要なことを教えてもらう。


顧客の「群」を捉えるだけで終わらせない


「実感型」デジタルマーケティングを進めるときのステップについて、順を追ってお話します。まず、顧客を捉える。次に、顧客を「実感」する。それから、顧客に対して施策を行う。最後に、施策に対してのフィードバックとブラッシュアップを行い、次の一手に向けてPDCAを回す。これが「実感型」デジタルマーケティングの内訳です。

顧客を捉えるステップは、オンラインや実店舗での購買行動といった顧客にひも付くデータの統合や、アンケートを利用して顧客の声を活用するといった手段が挙げられます。第2回、第3回の連載はまさに、顧客を捉えるステップの事例でした。ここから先を今回、お話します。

膨大な顧客データをいざ分析するとなると、「まずはどのようなデータを見ていけばよいのか、到底分からない」と思うマーケターも多いと思います。最初の入り口は、顧客の「群」を見ることです。「群」の動きを見て、顧客のかたまりを捉えましょう。

これは、多くの通販・EC事業者がすでに行っている、データの集計とほぼ同じことです。手元にある膨大なデータを見ながら、「優良顧客」などと顧客のかたまりを捉え、集計をかけていく。大切なのは、そこで終わってはいけないということです。集まっている顧客の動きをもう一段、深掘りしましょう。そのことが具体的に顧客一人一人をイメージすることにつながります。一人の顧客の購買行動を注意深く掘り下げ、顧客の「実感」を得ることは、実感型のデジタルマーケティングを進める上で必要なステップだと考えています。

そのときのデータの掘り下げ方として重要なことは、顧客の動きを点ではなく線で捉えることです。これがいわゆる「カスタマージャーニー」。線でとらえることで、断片的な点の動きではなかなか見えなかった、顧客の動きや状況が可視化されます。第3回でもお話しましたが、一人の顧客に焦点を当てて、その顧客が実際にどのような動きをしていくのかをマーケター自身が想像しながら掘り下げていくことで、顧客を群から“個”で捉えていくことが出来るようになります。

ある施策を実施したとして、メルマガの開封率はこれくらいだった、クリック率はこれくらいだった、ある商品がどの程度購入されたなど施策単位で検証するケースはよくあると思います。線で見るときには、その流れをつなぎ合わせていくことが必要です。

例えば、商品を今月、単品で購入した顧客がいたとして、その顧客はそれまでオンラインでどのような動きをしていたか(ECサイトをひんぱんに訪問していたなど)を確かめること。メルマガを開封するなど、ある施策に反応してくれた顧客は、反応した後にどのような変化があったか(商品を購入するなど)というのを、さかのぼって確認することです。


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