2020.08.07

【注目通販企業に聞く】BookLive 淡野正社長「在宅率高まり女性ファン急増」

淡野正社長


女性向けキャンペーンも

――巣ごもり需要で、顧客の購買傾向に変化はみられたか。

在宅率の高まりに合わせ、女性のお客さまが増えている。売り上げの成長率は、女性向け漫画が1位だ。2位がティーンズラブ、3位はボーイズラブ。今後は、女性向け作品に対するキャンペーンの強化を検討していく。

売り上げが最も多いジャンルは男性向け漫画だが、その実、男性向けの漫画を女性も読んでいるケースが多い。「男性向け」とうたいつつ、実際には女性にもかなり読んでいたただいていると思う。

女性客は、男性客よりも読む作品の幅が広く、多様性に富んでいる。女性はティーンズラブやボーイズラブだけでなく、少年漫画や青年漫画も読む人が多い。成人向け描写のある男性漫画を読む人もいる。

――顧客とのコミュニケーションは、どのようなシステムを取り入れているか。

現状は、メールでお客さまからの問い合わせを受け付けている。作品に対する感想や思い入れ、使い勝手に関する要望をメールでいただくことが多い。今後は、例えばチャットや電話など、お客さまがさらに意見を発しやすい環境を作っていきたいと思う。

問い合わせでは、「購入履歴を消したい」という要望もあった。何かの勢いでつい購入してしまったが、購入履歴が残ると恥ずかしいのだと思う。要望に応え、作品ごとに購入履歴を消せる機能を実装した。

――購入履歴を消せる機能はどんなものなのか。

お客さまが購入した作品の履歴を、作品ごとに個別に消せる機能だ。お客さまが履歴を削除すれば、その作品にひも付いたレコメンド施策も行われなくなる。本はその人の好みが表れやすい。セキュリティー面の安全はもちろんのこと、プライベートも守っていきたい。長くサイトを使い続けていると、本の趣味や好みが変わってくるのはあり得ることだと思う。お客さまに寄り添ったサービスを提供していく。


コロナ収束も見据え

――2021年3月期の売上高は、前期比3割増を見込んでいる。これまでは前期比2割増で推移してきたが、2021年3月期がこれまで以上に好調な要因は。

売り上げを押し上げる最も大きな要因ではないが、これまでと異なる成長の要因はやはりコロナ禍の在宅率の高まりにある。今後コロナが終息した頃には、今までの成長スピードに戻る可能性もあるとみている。

――「BookLive!」ならではの優位性は。

全般的に言えることだが、電子書籍ストアは他社と大きな差別化が図りにくい。コモディティー化しているともいえるだろう。お客さまにとって使いやすいサービスを追求し、(優位性を)地道に積み上げていくしかないと思う。

他社の電子書籍ストアはコミックだけを専業にしているところもあるが、当社は小説や雑誌なども扱う総合書店だ。総合書店としてECサービスを提供しているのは現在、当社を含めて数社に限られる。コミックだけに頼らず一般書籍に対応していくことも差別化につながると思っている。取り扱い作品数の増加や、キャンペーン企画を検討していく。

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