2020.08.07

【解説!定期購入トラブルの事後対策】「購入ページの記録」が解決の突破口


健康食品や化粧品の通販の定期購入トラブルが急増している。トラブルのほとんどのケースが、「お試しだけのつもりで購入したら定期契約だった」「解約を申し出ても電話がつながらない」などといった内容だ。こうしたトラブルについて、行政や消費生活相談員は、「商品を購入したページに購入条件の記載がなければ、交渉の余地がある。購入ページの記録を残しておいて、早めのキャンセルの申し出が必要だ」と話している。


政府の専門委でも議論


通販の定期購入トラブルについては、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられる相談の件数が、この5年間で約10倍になるなど、急増している。2015年度(2015年4月~2016年3月)に、PIO-NETに寄せられた定期購入の相談件数は4141件だったが、5年後の2019年度は、4万4370件だった。



定期購入トラブルの相談が急増している背景には、特定の悪質な事業者がいるようだ。公益社団法人日本通信販売協会の万場徹専務理事によると、「定期購入トラブルについては、ほぼ特定の事業者が、社名を変えて同様のトラブルを引き起こしている実態が分かっている」と話している。そのうちの1社とみられるTOLUTO(トルト=旧e.Cycle)は、消費者庁から、特商法に基づく業務停止命令を受けた。

定期購入トラブルについては現在、消費者庁の有識者委員会で、法改正を視野に入れた議論が行われている。有識者委員会では、悪質な定期購入商法を行う事業者に法規制の網をかけるため、「解約を妨害する行為」を禁止する規定を特定商取引法に導入する方向性を示している。


無条件の解約は困難


定期購入トラブルの相談で多いのが、①お試しだけのつもりで注文したが定期購入だった②事業者に解約の電話がつながらない③サプリメントを使用して健康危害が発生した――などを訴えるケースだという。

国民生活センターによると、①のようなケースでは、解約や返金を申し出ても、無条件で解約が認められることを期待するのは難しいという。特商法では、あらかじめECサイトに返品に関する特約を明記していた場合、特約が優先されると規定している。定期購入の商品の広告やランディングページ、申し込み確認画面に、「一切返品は受け付けない」など、返品に関する特約が書かれていた場合、その内容が優先されてしまうのだ。

逆に、商品の広告や購入したページに、定期購入に関する規約が書かれてないことが立証できれば、解約ができる可能性がある。「商品ページに定期購入に関する規約が書かれていても、『文字が小さくて分かりにくい表示だった』など、表示の分かりづらさを主張すれば、交渉の余地は残る」(国民生活センター相談情報部)と話す。

定期購入トラブルに悩む消費者は、まず、自分が契約した商品の広告やランディングページ、申込確認画面を、スクリーンショットなどで保存した上で、販売事業者に申し出る必要がありそうだ。事業者が個別の交渉に応じない場合、全国の消費生活センターに相談する方法もある。

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