2020.08.10

【注目通販企業に聞く】テレビ東京ダイレクト 遠藤孝一社長「テレ東のリソースからマネタイズ」

遠藤孝一社長


食のVCに出資、新ビジネス模索


――その一環ともつながってくると思うが、オイシックス・ラ・大地の子会社が運用するVCに出資した。経緯は。

ビジネスを拡大していくとき、われわれ単独では大きく拡大できないので、有力なスタートアップと提携していきたいと考えていた。SMBCのベンチャーキャピタルと懇意にしていたので、これまでもいろんなスタートアップを紹介され商談を行ってきた。SMBCからオイシックスが食領域に特化したファンドを作るので、それに参画しないかという話があって検討した結果だ。

――出資額は公表していないが、億単位になるのか。

そうだ。ファンドの総額はオイシックスの決算に20億円と出ている。出資企業は6月末の段階で当社を含めて7社だ。

――VCに出資したテレビ東京ダイレクトの狙いは。

テレビ東京ショッピングと虎ノ門市場の顧客を合わせると200万人弱の顧客がいる。その顧客に新たな提案をするとき、ファンドの出資先であるスタートアップと新たな商品を開発するとか、そういうことを考えている。オイシックス自身ともつながりを持ちながら、新しいビジネスを考えられる可能性もある。ファンドが出資しようとしたが、結果的にしなかったスタートアップの情報も入ってくる。われわれが直接、スタートアップと交渉するのではなくて、ファンドの目を通してスタートアップの状況や、スタートアップが何を考えているのかも分かる。もちろんファンドの成長というのが一つの目的だが、ファンドの出資先企業や、出資しなかったが検討した企業との業務提携を模索していきたい。ニッチな部分で強さを持ったスタートアップと組むことで、新しいビジネスができればと考えている。

――テレビ東京ダイクレトとして他社に出資したのは初めてか。

そうだ。グループとしても、テレビ局はあまりファンドそのものに出資はしない。

――こうした新規事業のアイデアは社内で募集するのか。

していないが、いろんな雑談の中で出てきたり、やりたい人が考えたりすればいいと思っており、事あるごとにそういう言い方はしている。新しいことを考えるのが好きな人間がいるので、彼らが集まればアイデアが出てくる。本業の通販事業が揺らいでいたらできないが、柱がいくつかできているから取り組める。

――今期の抱負をうかがいたい。

ホールディングスがコロナの影響を受けているので、グループから当社にかかる期待も大きい。まず営業利益の予算を達成することと、さらにそれ以上のことをやらなければいけない。テレビ東京も制作のメンバーが、番組から何かマネタイズできないかという意識を強く持つようになっている。マネタイズの方法は物販だけではなく、オンラインのイベントなど、さまざまな形が考えられる。テレビ東京のリソースからマネタイズするという意識がグループ全体でできているので、そこに力を入れていきたい。

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