2020.07.16

消費者庁、「つけ込み型」の取消が焦点に タイムセールも必要に応じ規制か

消費者庁は7月7日、消費者契約に関する検討会を開催し、判断力の低下した消費者への「つけ込み型」勧誘を消費者契約法で規制することについて議論した。これまでの会合で、「つけ込み型」勧誘への対応が必要という意見は一致しているが、一部委員からは、範囲や定義が広すぎて事業者の機会損失につながってしまうという意見が出ている。
 
「つけ込み型」勧誘の事例の一つとして以前の会合で、「チケット転売仲介サイトでチケットを購入しようとし、購入完了までの残り時間が表示され、早く購入しないとチケットがなくなると判断させ、購入させた。実際は、他に購入希望者がいなければ購入できた」が挙げられている。消費者庁によると、ECなどでのタイムセールも合理的な判断を妨げるので、必要に応じて規制の対象になる可能性があるという。
 
しかし、意見募集における意見として、「期間限定セールや在庫限りという表示は、通常行ってきたもので、商習慣上行われているものにまで取消権を認めるのは反対である」という声もあった。
 
消費者庁はさらに、「消費者に十分な思考をさせず、契約内容を吟味できない『浅慮』という状態を作出する行為も、取消権の対象となるのではないか。また、契約せざるを得ないと戸惑いを作出する『困惑』、契約の注意事項に興味や関心を向かせることなく、意欲的に契約締結させてしまう『幻惑』のような行為も取消権の対象と認められる」としている。
 
会合では、「浅慮」「幻惑」への対応策は必要という意見で一致した。しかし、「困惑」については、一部委員から「取り消しの対象範囲が抽象的で広すぎる。健全な事業者の機会損失につながる可能性も出てくる」という意見も出た。
 
消費者庁の消費者制度課は、「対象を具体化しすぎると、隙間事案が発生する可能性が出てくるので、事案の具体化は慎重に行いたい。まだ具体的な方向性は固まっていないので、委員の意見をもとに、引き続き議論を進めていきたい」としている。
 
7月16日の検討会では、不当条項について議論する予定だ。

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