2020.07.08

【記者コラム】顧客の定期購入見直しのタイミングが、処分につながるかも

定期購入トラブルは増加傾向に

6月29日、消費者庁で特定商取引法の改正に向けた検討会の第4回会合が開かれました。検討会では主に、通販の定期購入に関するトラブルが急増している問題とトラブル対策が議論の対象になりました。

定期購入に関する相談で多いのは、「『お試し500円』という表記を見て購入したが、実は定期購入で、2回目以降も届いてしまった」というケースです。「定期購入と知らずに契約してしまった。解約したいが、電話がつながらない」といったケースもよく聞きます。定期購入の相談の場合、健康食品や化粧品を商材とした案件が多いのですが、実際の相談では、健康被害を併せて訴える消費者が少なくないと聞きます。

消費者庁の報告では、定期購入トラブルの相談は、過去4年間で約10倍に増加しており、19年度は4万4000件に上っているということです。

これほどトラブルが急増している背景として、①化粧品や健康食品の単品リピート通販の参入障壁の低さ②新規事業者の参入を後押しするリピート通販のカートASPの増加――といったことを挙げる専門家もいます。「D2C」や「サブスクリプション」という言葉が浸透してきたことも、事業者の参入を後押ししているのではないでしょうか。

定価の数十%引きで商品を購入できるようになるなど、定期購入契約に特典をつけているケースが多いです。消費者にとってはメリットが大きい反面、解約するタイミングがつかめないという消費者も多いのではないでしょうか。

ある大手健康食品通販企業では、19年の消費税率引き上げのタイミングで、サプリの定期購入を見直す顧客が増えたのだそうです。19年9月の単月の解約数が、前年同月比で30%増えたと聞きます。

コロナで先行きが不安な中、サプリなどの定期購入の見直しを考える人も多いでしょう。問い合わせが増えたときに、きちんと対応できる体制を整えておかなければ、事業者が知らないうちに、トラブルとして行政側に蓄積され、処分などの理由にされてしまう可能性があります。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事