2020.06.21

【記者コラム】提案と押し付けのはざまで

取材先のアプリを試用するため、普段使いのスマホを数年ぶりにアップデートしました。それに伴い、利用していた音楽視聴や買い物用アプリも現行にバージョンアップ。たった数年で使用感がまったく別物に変わったものもあり、技術の進歩に驚かされます。

生まれ変わったスマホを使って1週間が経過しますが、その中で覚えた違和感が一つだけありました。「こいつ、やたら人にものを薦めてくるな」というものです。

日々の行動データから検証したであろうお薦めの商品や音楽を、スマホ画面に隙あらば通知してくるのです。そこから生まれる発見もあるのですが、どちらかというとかなり芯を外した「押し付け」とも思える提案が多い印象です。

こうした通知一つ一つが、ただでさえ少ないバッテリーを圧迫しているかと思うと若干のイラつきも生じます。あまつさえ、「あなたの志向に合った仕事」として、転職先さえ提案してくる始末です。人の人生設計を何だと思っているのでしょうか。

もちろん、提案という行為が悪いとは思いません。インターネットでの買い物一つとっても、個人の力ですべての情報を収集するのはとうてい無理です。その中で、利用者が探している(もしかしたら本人自身も存在を認知していない)商品を適切に紹介するというのは、今後の購買体験で必須とも言える機能かもしれません。

ただ、現状こうした機能はまだまだ未成熟なものが世の中にあふれている印象です。例えば、昨日最新ゲーム機を買った人間に対して、ゲームソフトを提案してくれるならまだしも、そのゲーム機の色違いを「あなたにお薦めの商品」として表示してくるのは、あまり適切な提案とは言えません。

提案と押し付けのはざまにあるはずのスイートスポット。そこを高打率で表示してくれるアプリやECサイトの登場と定着を切に望みます。願わくは、次のスマホ更新の機会までに。

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