初日に注文2000件
――サイト開設後の反響は。
水野:想定の4倍以上の売り上げ、アクセス数などの反響がありました。当初は陶器をウェブで売るのは難しいという見解もあり、お客さまがサイトに来ていただけても、そこまで売れないのではないかと懸念していました。しかし、ふたを開けるとお客さまは来ていただけるし、ちゃんと購入もしていただけました。
期間中の売り上げは4700万円以上となり、アクセス数は55万件、注文件数は6000件弱となりました。初日に2000件以上の注文が入りましたので、思っていた以上にアクセスや注文が集中しました。
黒瀬:販売を開始して1、2時間でとんでもない注文が来て、こんなに売れるんだと思ったのが正直な感想です。
水野:事務局だけで情報発信しているだけでは、こんなに大きな反響は得られなかったと思います。作家さんが自らウェブ陶器市に出品していることなどを発信していただけたことで、お客さまにも届き、応援しようと来ていただくことができました。
黒瀬:お客さまにも「益子陶器市がウェブでやっているよ」とSNSなどで拡散していただけたことも大きかったと思います。商品カテゴリーでの分類だけでなく、リアルの陶器市を再現したテント村などの見せ方が、SNSを見ていても好評でした。リアルのファンの方たちがウェブ陶器市も楽しまれているのが分かりました。改めて益子陶器市のファンがたくさんいて、コミュニティーができているんだと感じました。
StoreHero 黒瀬淳一CEO――注文が殺到したことでバックヤードは大変だったのではないですか。
水野:初日に2000件以上の注文が入ると誰も思っていなかったので、集配センターの設備や出荷のオペレーションにおいて詰めきれていない部分はありました。それでも益子町の販売店さんに協力いただき、助かりました。プロの方たちに梱包していただくことができ、現在(5月27日)までに5700件以上出荷していますが、陶器が割れているというクレームは5件以下に抑えられています。配送を委託しているヤマト運輸から見ても、驚異的な数字だと聞きました。優秀な方たちに協力を得られたおかげです。
――今回のウェブ陶器市は今後にどうつながると思いますか。
水野:コロナの状況がどうなるか読めないこともあり、今後に関しては何も決まっていません。ただ、町の方と話をしていると「秋もどうなるか見えないので、ウェブ開催も考えておかないといけないよね」と話しています。ウェブという選択肢を持てたことは、益子にとっても大きいと思います。
出品者さんもウェブ販売に手応えを感じていただけたようで、自分たちもネットショップを作ろうという機運が高まっています。売る選択肢や考える機会を提供できたことは、私にとってもとてもうれしく、一つの成果だと思っています。今後、さまざまな作品が集まるウェブ陶器市もあれば、作家それぞれの販売サイトもあったりすると、お客さまにとっても選択肢が増え、喜んでいただけると思います。
私としてはもともと、益子の観光戦略をお手伝いしていますので、ウェブ陶器市を観光にどうつなげていくのか、観光できた方とウェブでどうつながっていけるのか、といった仕掛けについて、これから考えていきたいと思っています。
今回は既存のお客さま以外にも、西の方のお客さまにも来ていただけました。リアルでの開催の場合、来るのも大変ですし、有田焼など著名な陶器市も同時期に開催しています。リアルではターゲットではなかった西のお客さまにもウェブ陶器市にたくさん来ていただくことができ、新しい世界が広がりました。
次のリアル開催はさらに可能性が広がる