2020.06.12

【「益子Web陶器市」成功の立役者に聞く】準備期間3週間で想定の4倍の売上獲得

益子町 産業建設部観光商工課 タウンプロモーション係 地域おこし協力隊 水野大人氏(写真左) StoreHero 黒瀬淳一CEO(写真右)


栃木県益子町で春と秋に開催している「陶器市」は今春、新型コロナウイルスの影響で1966年の開始以来初めて中止となった。楽しみにしている顧客や、陶器作家、販売店のために、急遽オンラインでの開催を決断。企画から販売開始まで3週間しかなかったものの、4月29日から5月20日までの期間中に6000件弱の注文を獲得。想定の4倍となる4700万円以上の売り上げ、55万件のアクセス数があったという。「益子Web陶器市」を影で支えた益子町・地域おこし協力隊の水野大人氏と、ECサイトの構築支援を行うStoreHeroの黒瀬淳一CEOに、開催までの苦労や反響、成功のポイントについて聞いた。


50年超続く陶器市が初の中止


――ウェブ開催に至った経緯は。

水野:1966年から毎年開催していた陶器市が中止になるのは、史上初でした。春の陶器市だけで40万人ぐらいが参加します。このお客さまに何も手を打てない事態は避けたいと考えたのと同時に、益子焼など陶器作家さんの作品が世に出る機会がなくなってしまうのも防ぎたいと考え、ウェブ開催に至りました。陶器市は作品販売だけではなく、作家さんとお客さまがつながれる場でもあったのです。


1966年から毎年開催している「益子陶器市」

――開催までにはどんな苦労があったのですか。

水野:ウェブに明るい人が少なく、チーム作りに苦労しました。作品情報や作成や、写真を集める作業も大変でした。町役場や観光協会、商工会の方がバックアップしてくれました。作家さんや販売店さんなど益子で窯業を営んでいる方、町民の方たちなど、かなり多くの人に協力していただけました。

陶器の写真については、撮影できる場所を作り、必要なカットを決めて撮影を急ぎました。私がもともと、アクセサリーのECを手掛けた経験があったので、どういうカットがあれば購入を判断できるかが最低限は分かっていたので、撮影のルールを決めて、取り組むことができました。

サイトの構成を考えるにも時間が少なく、凝ったことはできません。リアルで開催した際の導線を意識して、作家の作品が集まるテント村をウェブで再現したりしました。


「益子Web陶器市」のサイト

――サイト構築に「Shopify(ショッピファイ)」を採用した理由は。

水野:リアルでも開始と同時にお客さまが一気に会場に来られます。瞬間的にトラフィック(流入数)がどのぐらい跳ね上がるか読めないこともあり、大きなトラフィックに耐えられるプラットフォームを選びました。

「Shopify」のパートナーでもあるStoreHeroの黒瀬さんと以前から知り合いだったこともあり、今回の開催に協力してもらいました。「Shopify」でのサイト構築に明るい方にサポートしていただけたことも後押しになりました。


益子町 産業建設部観光商工課 タウンプロモーション係 地域おこし協力隊 水野大人氏

黒瀬:サイトの構築や商品データの作成は、水野さんや益子の方たちが手掛け、私の方ではテクニカル面のサポートや、個別の相談に応じたり、一部コーディングを支援しました。コロナで大変な方々を支援している一環で、無償で支援させていただいたのですが、水野さんとならば、この短期間でもできるだろうと思い、参加させていただきました。

システムについては、トラフィックに耐えられ、短期間でサイト構築から販売開始まで持っていける仕組みとして、「Shopify」一択だったかなと思っています。


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