2020.06.10

【記者コラム】バーチャル接客はコミュニケーションの場になり得るか

三越伊勢丹はいま、オンラインやバーチャルの利用に前のめりです。6月9日からチャットや動画を利用したオンライン接客を一部の売り場から試験的にスタート。4月29日から5月10日にかけて、ソーシャルVRアプリ「VRchat(ブイアールチャット)」内で催された「バーチャルマーケット4」には、伊勢丹が出展し、各種メディアでも注目されました。三越伊勢丹は、リアルの売り場だけでは得られない新境地を目指していると感じます。

コロナ禍以前、平日に都内の百貨店(三越伊勢丹ではない)を訪れる機会がありました。客足は多いとは言えず、驚いた記憶があります。その背景には、女性の社会進出、百貨店よりも低価格の商品を扱うチェーン店舗が増えたこと、EC・通販の利用拡大があるのだろうと考えます。存在意義を問われている百貨店が少なくないのかもしれません。

ある情報サイトの取材に、伝統と最新メディアの融合「“仮想”伊勢丹 新宿本店」の企画を推し進めている三越伊勢丹ホールディングスの仲田朝彦氏は、「百貨店って、コミュニケーションの場なんです」と答えていました。“百貨店は単なる販売スペースではない。家族や友人と訪れた顧客がファッションを提案したりプレゼントをしたりする、購買とコミュニケーションが結び付く体験をしている”と言います(出展:CG・映像の専門情報サイト CGWORLD.jp)。

この記事を読んで、その通りだと思いました。単なる買い物がしたいのならECや通販でいいけれど、楽しい体験を味わいたいから、人は百貨店をはじめとした店舗に足を運ぶのでしょう。いま、そのEC・通販においても、『顧客体験』が叫ばれる時代になりつつあります。百貨店のようなリアルの売り場も含め、EC・通販市場がどのように変容を遂げていくのか、注目していきたいと思います。

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